ファイナンス 2021年2月号 No.663
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1. 令和2年度第3次補正予算及び令和3年度予算編成の背景と考え方日本経済については、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にある。令和2年度第1次補正予算及び第2次補正予算の政策効果等もあり、持ち直しの動きがみられるものの、新型コロナウイルス感染症が内外経済を下振れさせるリスクに十分注意する必要がある。(参考)令和2年度の実質GDP成長率は▲5.2%程度、名目GDP成長率は▲4.2%程度と見込まれており、令和3年度はそれぞれ4.0%程度、4.4%程度と見込まれている。このような状況の下、昨年12月8日に、「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」が閣議決定された。この総合経済対策は、雇用と事業を支えながら、新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するとともに、ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現を図り、防災・減災、国土強靭化の推進など安全・安心の確保を進めるものである。これに基づき、いわゆる「15か月予算」の考え方で、令和3年度当初予算と一体として、令和2年度第3次補正予算を編成することとされた。一方、財政状況に目を転じれば、日本の財政は、少子高齢化に伴う構造的な課題にも直面している。「経済財政運営と改革の基本方針2020」(令和2年7月17日閣議決定)等を踏まえ、2025年度のプライマリーバランスの黒字化目標等の達成に向けて、引き続き、これまでの歳出改革の取組を継続し、経済再生と財政健全化の両立を図っていく必要がある。2.令和2年度第3次補正予算の概要令和2年度第3次補正予算は、前述の総合経済対策の実行等のために編成された。歳出面においては、総合経済対策の実行に係る経費として19兆1,761億円を計上している。このほか、国税の減収に伴う地方交付税交付金原資の減額の補塡等を行うとともに、既定経費の減額を行うこととしている。一方、歳入面においては、租税等の収入について、最近までの収入実績や企業収益の動向等を勘案して、8兆3,880億円の減収を見込んでいる。また、税外収入については、7,297億円の増収を見込むほか、前年度剰余金6,904億円を計上することとしている。以上によってなお不足する歳入について、公債を22兆3,950億円発行することとしている。この結果、令和2年度第3次補正後予算の総額は、一般会計第2次補正後予算に対して歳入歳出ともに15兆4,271億円増加し、175兆6,878億円となる。また、令和2年度の公債発行額は112兆5,539億円となる。令和2年度第3次補正予算及び 令和3年度予算について主計局総務課主計官 中島 朗洋2 ファイナンス 2021 Feb.特 集

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