ファイナンス 2021年2月号 No.663
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を占めている。令和3年度の借換債発行額は、前年度(補正予算)で大幅に増発した短期国債が償還を迎えることもあり、同+39.2兆円の147.2兆円となっている。(2)消化方式別発行額国債の消化方式は、大別すると、「市中発行」、「個人向け販売」、「公的部門」の3方式に分けられる(表1中)。大半を占める「市中発行」分のうち、カレンダーベース市中発行額については、前年度当初比+92.6兆円、補正後比+9.1兆円の221.4兆円となっているが、補正増発後の発行ロットを前提とした平年度化ベース(注)からは▲3.8兆円となっている(図2)。「個人向け販売」分は、新型コロナの影響等を受けた足元の販売状況等を踏まえ、前年度当初比▲0.7兆円の4.1兆円としている。また、「公的部門」(日銀乗換)は、日本銀行が保有する国債が満期を迎えた際に、その一部について国会の議決を経た金額の範囲内で借換債を引き受ける制度である。令和3年度は、国債発行総額や市場環境等を踏まえ、前年度と同額の2.2兆円としている。(注) 平年度化ベースとは、増発後(令和2年7月~)の発行ロット(入札1回当たりの発行額)を維持した場合の年間発行額のことである。(3)年限別発行額カレンダーベース市中発行額の年限別発行額については、上述のとおり補正増発後の平年度化ベースから▲3.8兆円となる中で、令和4年度の借換債の増加要因となる短期債(6ヵ月)を前年度3次補正後比で▲4.4兆円の41.2兆円とする一方、市場のニーズを踏まえ、40年債を同+0.6兆円の3.6兆円としている(表1右)。長期債(10年債)、中期債(5・2年債)、短期債(1年債)については、前年度(増発後の平年度化ベース)から同額としている。また、「流動性供給入札」は、前年度当初と同額の11.4兆円の規模で実施することとしている。3.おわりに令和3年度国債発行総額は、新型コロナへの対応等に伴い、当初ベースでは過去に類を見ない規模となっており、この結果、国債発行残高(財投債含む)は、令和3年度末に約1,129.9兆円に達すると見込まれている。今後も借換債を含めた国債の大量発行を余儀なくされる中、これらの国債を確実かつ円滑に発行しつつ、中長期的な調達コストの抑制を図っていく観点から、国債管理政策は一層重要となっている。国債発行当局としては、引き続き国債市場の動向を注視しつつ、市場関係者との緊密な対話を行い、中長期的な需要動向を見極め、安定的で透明性の高い国債発行に努めていく所存である。(図3)国債発行総額及び残高の推移(注1)令和元年度までは実績。(注2)計数ごとに四捨五入したため、合計において一致しない場合がある。33.634.436.6112.643.60.10.80.80.2106.4103.3104.2109.0147.212.010.612.540.745.0152.0148.3154.2263.1236.0平成2930令和元3(当初)2(3次補正後)(年度)国債発行総額の推移財投債025020015010050(兆円)借換債復興債年金特例国債新規国債(特例国債・建設国債)276.0279.3282.5366.1342.4573.0592.1601.2615.2645.594.592.291.1120.4139.6947.7966.3977.81,105.21,129.9普通国債計990.3兆円(注1)令和元年度末までは実績、令和2年度末は3次補正予算ベース(前倒債43兆円を含む)、令和3年度末は当初予算ベース(前倒債20兆円を含む)。(注2)計数ごとに四捨五入したため、合計において一致しない場合がある。平成2930令和元3(当初)2(3次補正後)(年度末)国債発行残高の推移01,2001,1001,000900800700600500400300200100(兆円)財投債借換債復興債年金特例国債新規国債(特例国債・建設国債)1.60.81.62.01.61.41.61.02.51.8 ファイナンス 2021 Feb.29令和3年度予算特集:1令和3年度国債発行計画について 特 集

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