のような市場環境を踏まえつつ、昨年11月に実施した「国の債務管理の在り方に関する懇談会」において、民間有識者から中長期的な国債管理政策について意見・助言をいただくとともに、同11月~12月に実施した「国債市場特別参加者会合」及び「国債投資家懇談会」において、市中発行の年限構成等について市場関係者(機関投資家、証券会社等)との対話をきめ細かく実施し、市場ニーズの把握に努めた。これらの会合においては、今後、短期国債から優先的に減額していくべきといった声や、40年債への強いニーズ等が聞かれたところであり、こうした民間有識者の指摘や市場関係者の声を踏まえつつ、令和3年度国債発行計画を策定したところである(表1)。(1)発行根拠法別発行額令和3年度の国債発行総額は、前年度当初比+82.5兆円の236.0兆円と当初ベースでは過去に類を見ない規模となっている(参考:これまでは平成26年度当初の181.5兆円が最高)。発行根拠法別(表1左)の内訳をみると、まず、一般会計予算の歳入となる新規国債(建設国債・特例国債)は、前年度当初比+11.0兆円の43.6兆円となっている。復興債は、東日本大震災からの復興のための施策に要する費用の財源に充てるため、復興特別税等の収入が確保されるまでのつなぎとして発行されるものであり、令和3年度は、同▲0.7兆円の0.2兆円の発行を予定している。財投債は、財政融資の新規貸付規模や財政融資資金全体の資金繰り等を勘案した結果、令和3年度は同 +33.0兆円の45.0兆円となっている。借換債は、過去に発行した国債の満期到来に伴う借換えのために発行するものであり、国債発行総額の大半(図2)令和3年度市中発行額の推移4月<令和3年度><令和2年度>市中発行の平年度化と減額のイメージ入札1回当たりの発行額3月7月212.34月3月7月221.4平年度化ベース:225.2(=212.3+12.9)23.821.621.621.682.583.252.849.246.846.861.266.027.626.425.225.229.731.224.622.821.622.226.728.812.514.214.213.012.282.561.229.726.712.212.2141.3134.2129.4128.8212.3212.304080120160200240平成2930令和元3(当初)(年度)2(3次補正後)2(2次補正後)2(当初)221.4〈カレンダーベース市中発行額(定期的な入札による発行)の推移〉令和3年度に償還到来平年度化ベース(=28.2)より増額(40年債+0.6)平年度化(=97.2)平年度化ベース(=87.6)より減額(▲4.4)(兆円)令和4年度に償還到来流動性供給入札等超長期債(20、30、40年)長期債(10年)中期債(2、5年)短期債(1年以下)減額(▲3.8)平年度化による増分(+12.9)(表1)令和3年度国債発行計画の概要〈発行根拠法別発行額〉(単位:兆円)区分令和2年度令和3年度当初 (a)2次 補正後3次 補正後 (b)当初 (c)(c)-(a)(c)-(b)新規国債 (建設・特例)32.690.2112.643.6+11.0▲69.0借換債108.0108.0109.0147.2+39.2+38.2財投債12.054.240.745.0+33.0+4.3復興債0.90.90.80.2▲0.7▲0.6国債発行総額153.5253.3 263.1236.0+82.5▲27.1〈消化方式別発行額〉(単位:兆円)区分令和2年度令和3年度当初2次 補正後3次 補正後 (a)当初(b)(b)-(a)カレンダーベース 市中発行額 (定期的な入札による発行)128.8212.3212.3221.4+9.1年度間調整分 (前倒債の活用)9.723.937.60.1▲37.5その他 (個人向け国債等)15.017.113.114.5+1.4国債発行総額153.5253.3263.1236.0▲27.1〈カレンダーベース市中発行額 (定期的な入札による発行)〉(単位:兆円)区 分令和3年度当初対2年度当初対2年度 3次補正後40年債3.6+0.6+0.630年債10.8+2.4+0.620年債14.4+3.6+0.910年債31.2+6.0+1.55年債30.0+7.2+1.82年債36.0+12.0+3.01年割引 短期国債42.0+20.4+5.16ヵ月割引 短期国債41.2+41.2▲4.410年物 価連動債0.8▲0.8-流動性 供給入札11.4--合計221.4+92.6+9.1(増額回避)平年度化ベース(225.2)より減額(▲3.8)平年度化による増28 ファイナンス 2021 Feb.特 集
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