ファイナンス 2021年2月号 No.663
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1. 令和3年度財政投融資計画の基本的考え方昨年12月8日に、(1)新型コロナウイルス感染症の拡大防止策、(2)ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現、(3)防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保を柱とする「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」(以下「総合経済対策」と言う)が閣議決定された。この総合経済対策においては、現下の低金利状況を活かして財政投融資を活用し、生産性向上や防災・減災、国土強靱化の加速を図ると共に、ポストコロナ時代の社会・経済構造変化に対応した民間投資を促進する政策が盛り込まれている。(資料1)これを踏まえて、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構(以下「高速道路機構」と言う)による、防災・減災、国土強靱化の強化を図るための高速道路の暫定2車線の4車線化の加速や、株式会社日本政策投資銀行(以下「DBJ」と言う)による、デジタル社会の実現に向けたデジタル・インフラの整備加速や既存産業のデジタル化投資(デジタル・トランスフォーメーション)の実現のための施策やグリーン社会の実現に向けたリスクを取った果断な投資を促進するための「グリーン投資促進ファンド」の創設等、総額1兆4,341億円の財政投融資計画を、令和2年度第3次補正予算において追加することとし、その政府案が12月15日に閣議提出された。続いて、令和3年度財政投融資計画(以下、「3年度計画」という。)も、12月21日に予算政府案とあわせ、*1) 補論「新型コロナ融資への財政投融資の対応」で詳述。閣議提出された。これは令和2年9月末に要求を受けた後、総合経済対策も踏まえつつ、財政制度等審議会財政投融資分科会において審議を行ったものである。2.令和3年度財政投融資計画の規模3年度計画の総額は、40兆9,056億円と過去最大規模である。この中では、コロナ禍の影響を受けた企業・事業者や地方公共団体への支援、イノベーションの加速、生産性向上、防災・減災、国土強靱化などに思い切った重点化を行うこととしている。3. 令和3年度財政投融資計画の概要 (資料2)(1)資金繰り支援や企業の成長力強化等株式会社日本政策金融公庫、沖縄振興開発金融公庫において、令和3年度も中小事業者等の資金繰り支援に万全を期す規模の財政投融資を措置することとした。*1また、DBJにおいて、デジタル・トランスフォーメーションの推進等を支援するとともに、ライフサイエンス産業(特に創薬・バイオ)の競争力強化が重要課題に位置づけられていることも踏まえ、「DBJイノベーション・ライフサイエンスファンド(仮称)」を設置し、日本医療研究開発機構(AMED)等とも連携して、医療分野等のイノベーションに向けた投資を加速することとした。さらに、ポストコロナ時代に向け、民間の金融機関やファンドが保有する資金・人材・ノウハウを動かして令和3年度 財政投融資計画について理財局財政投融資総括課長 関口 祐司20 ファイナンス 2021 Feb.特 集

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