ファイナンス 2021年2月号 No.663
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6. 経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し(ア) 国や自治体等の実施する子育てに係る助成等の非課税措置子育て支援の観点から、保育を主とする国や自治体からの子育てに係る助成(ベビーシッター・認可外保育施設の利用料等)について、所得税を非課税とする措置を講ずることとする。(イ)セルフメディケーション税制の見直し国民が適切な健康管理の下、セルフメディケーションに取り組む環境を整備することが、医療費の適正化にも資することを踏まえ、より効果的・効率的なものとする観点から、スイッチOTC薬の中でも効果の薄いものを本税制の対象外とする一方で、とりわけ効果があると考えられる薬効については、スイッチOTC成分以外の成分にも対象を拡充することとする。併せて、手続きの簡素化を図るとともに、本税制の効果検証を行うため、適切な指標を設定して評価を行うこととする。(ウ) 教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の見直し孫等が受贈者である場合に、贈与者の死亡時の残高に対して相続税額の2割加算が適用されないこと等が本制度の節税的な利用につながっているとの指摘を踏まえ、2割加算を適用する等の見直しを行った上で、適用期限を2年延長することとする。7.円滑・適正な納税のための環境整備(ア)国際的徴収回避行為への対応租税条約に基づき各国税務当局間で互いに相手の租税債権を徴収していこうとするいわゆる徴収共助の枠組みが拡大してきている。この徴収共助の要請が可能な国に財産を所有する滞納者による徴収回避行為に適切に対応し、適正かつ公平な課税・徴収を実現する観点から、滞納処分免脱罪及び第二次納税義務の適用対象を見直すこととする。資料11中小企業事業再編投資損失準備金制度の創設(案)○M&A実施後に発生する中小企業の特有のリスク(簿外債務、偶発債務等)に備える観点から、M&Aに関する経営力向上計画の認定を受けた中小企業者が、株式譲渡によってM&Aを実施する場合(取得価額が10億円以下の場合に限る。)において、株式等の取得価額の70%以下の金額を中小企業事業再編投資損失準備金として積み立てたときは、その積立金額を損金算入できることとする。(計画の認定期限:令和6年3月31日)この準備金は、据置期間終了後、原則として、5年間で均等額を取り崩して益金算入する。○また、当該認定計画の中で、中小企業経営強化税制の新たな類型の適用ができることとするとともに、所得拡大促進税制の上乗せ要件に必要な計画の認定を不要とする。準備金の積立(損金算入)一部取崩し(益金算入)M&A実施据置期間(5年間)リスクの顕在化5年間で均等取崩し(益金算入)経営力向上計画認定設備投資買い手(中小企業者)売り手(中小企業者)株式譲渡取得対価株式取得価額の70%を限度として準備金を積み立て所得拡大促進税制※の適用中小企業経営強化税制の適用※※事業譲渡によってM&Aを実施する場合についても対象16 ファイナンス 2021 Feb.特 集

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