ファイナンス 2021年2月号 No.663
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(ウ) コロナ禍を踏まえた賃上げ及び投資の促進に係る税制の見直し(人材確保等促進税制)厳しい雇用情勢の中、新たな人材の獲得及び人材育成の強化を促しつつ、第二の就職氷河期を生み出さないようにする観点から、新規雇用者に対する給与を前年度より2%以上増加させた企業に対し、新規雇用者給与等支給額の15%を税額控除できる措置等を講ずる。また、事業変革に向けた人材投資(教育訓練費)を増加させた企業に対しては、税額控除率を上乗せすることとする。(資料3)(エ)繰越欠損金の控除上限の特例わが国の国際競争力・経済成長力を維持していくためには、赤字企業も含め、厳しい経営環境の中でも果敢に投資を行い、事業再構築・再編に取り組んでいくことが強く求められる。このため、産業競争力強化法の事業適応計画の認定を受けた場合は、2年間にわたって生じた欠損金額について、翌期以降最大5年間、当該計画に従って行った投資額の範囲内で所得の最大100%まで繰越控除を可能とする特例を創設することとする。(2) 自社株式等を対価としたM&Aに係る税制上の措置企業の機動的な事業再構築を促し、競争力の維持・強化を図る観点から、自社株式等を対価としたM&Aを行った場合に、その対象会社の株主の株式譲渡損益課税を繰り延べる措置を講ずることとする。(資料4)資料3賃上げ及び投資の促進に係る税制の見直し(案)〔人材確保等促進税制〕≪現行制度≫≪改正案≫【要件】①継続雇用者給与等支給額:対前年度増加率3%以上②国内設備投資額:当期の減価償却費の総額の95%以上③雇用者給与等支給額:対前年度を上回ること【税額控除】・雇用者給与等支給額の対前年度増加額の15%の税額控除・教育訓練費増加要件(当期の教育訓練費≧前期・前々期の教育訓練費の平均の1.2倍)を満たす場合には控除率を5%上乗せ(→合計20%)・税額控除額は法人税額の20%を限度【要件】①新規雇用者給与等支給額:対前年度増加率2%以上②雇用者給与等支給額:対前年度を上回ること【税額控除】・新規雇用者給与等支給額※の15%の税額控除・教育訓練費増加要件(当期の教育訓練費≧前期の教育訓練費の1.2倍)を満たす場合には控除率を5%上乗せ(→合計20%)・税額控除額は法人税額の20%を限度(※)雇用者給与等支給額の対前年度増加額を上限とする。資料4 自社株式等を対価としたM&Aに係る税制上の措置(案)自社株式等を対価としたM&Aに係る税制上の措置(案)買収会社(P社)T社株式P社株式対象会社株主対象会社(T社)子会社化(議決権の50%超)課税の繰延べ10 ファイナンス 2021 Feb.特 集

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