ファイナンス 2021年1月号 No.662
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3. 一度聞いただけでわかるコメント作り(1)面倒でも原稿は作る次は「一度聞いただけでわかるコメント作り」です。まずは、プレゼンでは面倒でも原稿を作ることが大切です。「原稿がなくても話せる」「箇条書きのメモがあれば話せる」という人がいますが、話せるということと、聞き手が理解できるということは別の話です。聞き手が理解できるコメントになっているのかを確認するためにも原稿を書きましょう。私は新人アナウンサーの頃、入社5年目ぐらいまでは、全部原稿を書いておりました。その経験もあって、私はこうやって短く区切って話すことができます。しかし、こうなるまでには、やっぱり練習が必要です。また、原稿を書いておくと、時間が押している、長いという場合には、後で文言を入れ替えるとか、この情報は不要だな、ということが可視化できます。可視化しておくと思い切って削れます。原稿を用意せずに、いきなり話すと、削るべき箇所が必要な気がして迷ってしまうのですが、可視化しておくと思い切って削ることができます。原稿を用意することは手間がかかりますが、メリットが多いのです。(2)原稿はできる限りシンプルに原稿を作るとき、理解しやすいものにするために心がけていただきたいことは「できる限りシンプルにする」ということです。シンプルなのが一番わかりやすい。ではどのようにすればよいのでしょうか。ア.初めにざっくり説明、後でしっかり説明まずは構成です。構成というのはどういう順番で話すのかということです。私がこれから1つの例文を示します。聞いてください。「伝わる話し方を考える上で大切なのは、聞いている人に『わからないなぁ』『長いなぁ』『おもしろくないなぁ』と思われないように、『何が言いたいか』を出来るだけ早めに伝えることと、なるべく短い文章で話すことという2つの点に気をつけて、聞いている人が負担に感じないよう配慮することです。」いかがでしたか。わかりにくいですよね。一つの文で話してしまうと情報量が多すぎます。それに理由も結論もぐちゃぐちゃになっていますが、実際、多くの人がこのように話しています。伝えているつもりになっていても、聞いている方には残っていない、これが話し言葉の落とし穴です。話し言葉はきちんと設計しないと伝わりません。ではどうすればよいのか。まず、最初に「ざっくり」したことを話します。要点や概略、結論などを「ざっくり」話して、細かいことは後で「しっかり」説明するのです。「これから話すことはこんなことです」と先に話しておくと「ああ、こんなことなのか。ではそのあとは。」と細かいことを聞く気持ちになるのです。先ほどの例文を「結論」「まとめ」「理由」という順で話してみるとわかりやすくなります。(結論)伝わる話し方を考える上で大切なのは、聞いている人が負担に感じないよう配慮することです。(まとめ)2つの点に気をつける必要があります。「何が言いたいか」をできる限り早めに伝えること。そして、なるべく短い文章で話すことです。(理由)聞いている人に「わからないなぁ」「ながいなぁ」「おもしろくないなぁ」と思われないようにするためです。このように「ざっくり、しっかり」を心がけておくと、話の内容が聞き手に残ります。アドリブでは無理ですので、文章で書いておきましょう。イ.見出しを付けるとさらにわかりやすくこのように文章の順番を直しただけでも十分わかりやすいのですが、もっと聞いている人にわかりやすいようにするために、それぞれのパラグラフに新聞記事のような見出しをつけるとよいでしょう。最初のパラグラフには「結論から言いましょう!」という見出しを付けます。これをやると、聞き逃しちゃいかん、というので絶対に聞いてもらえます。「結論から言いましょう!」のパラグラフで「聞い ファイナンス 2021 Jan.82上級管理セミナー連載セミナー

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