ファイナンス 2021年1月号 No.662
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表2 6月1日時点の学校再開状況(国公私立学校計)全国うち時短・分散うち全面再開未定時短分散幼稚園98%小学校99%19%26%5%中学校99%18%26%5%義務教育学校97%12%28%0%高等学校96%12%31%28%中等教育学校91%3%42%38%特別支援学校96%11%42%34%専修学校高等課程96%合計98%17%27%9%(出所)文部科学省資料から筆者作成。詳細は文部科学省「新型コロナウイルス感染症に関する学校の再開状況について」を参照。https://www.mext.go.jp/content/20200603-mxt_kouhou01-000004520_4.pdf2.雇用に関する現状分析今般の危機は外出・営業の自粛を通じて、経済にも大きな影響を及ぼしている。特に、飲食や観光といったサービス産業においては、雇用などの観点からも直接的な影響を被っているものと考えられる。図1 雇用者の推移(正規・非正規)040003500300025002000150010005001.11.0510.950.92019年4月2019年5月2019年6月2019年7月2019年8月2019年9月2019年10月2019年11月2019年12月2020年1月2020年2月2020年3月2020年4月2020年5月2020年6月2020年7月2020年8月2020年9月(万人)(出所)総務省「労働力調査」より筆者作成。正規(実数)非正規(実数)正規(前年同月比)非正規(前年同月比)図1は雇用者の月次推移を実数と前年同月比で示したものである。2020年3月に新型コロナウイルス感染症のパンデミックが宣言されて以降、正規雇用者数は対前年同月比横ばいで推移している一方で、非正規雇用者数は前年同月比で5%ほど減少しており、両者間の差異が明確に見て取れる。ここから、新型コロナウイルスの感染拡大が家計に与える影響の度合いが、雇用形態によって異なることが示唆される。また、図2は主要産業(建設、製造、宿泊・飲食、卸売・小売、医療・福祉)における正規・非正規雇用者数の前年同月比をプロットしたものである。これを見ると、どの産業でも正規雇用者数はおおむね前年度比横ばいである一方、非正規雇用者数については、上述の宣言以降前年度比で雇用者数が減少している産業が多く、特に製造業、宿泊・飲食において顕著である。このことから、同じ産業内であったとしても、正規・非正規とで今般の危機が雇用に与える影響は異なっていることが示唆される。図3は新規求人数、新規求職申込件数(季節調整値)及び各々の前年同月比を示している。4月の大幅な新規求人数の落ち込みがみられて以降、直近の9月においても前年度の8割程度と、引き続き労働需要の減退がみられている。新規求職申込件数については、3月~5月にかけては減少がみられ、今般の感染症の感染拡大は、労働需要側のみならず、労働供給側にも下方圧力をかけている可能性が示唆される。この点については、角谷(2020)もコロナ禍において求職者数が減少していること、その要因として、感染を回避するためにハローワークへ通うことを忌避していることや、ハローワーク側の事務作業の遅滞があることを指摘している。しかし、6月以降は、前年同月比でみても新規求職申込件数はほぼ同水準まで回復している。図2 主要産業別の雇用者数の前年同月比の推移1.21.110.91.151.050.950.850.82019年4月2019年5月2019年6月2019年7月2019年8月2019年9月2019年10月2019年11月2019年12月2020年1月2020年2月2020年3月2020年4月2020年5月2020年6月2020年7月2020年8月2020年9月(出所)総務省「労働力調査」より筆者作成。1.21.110.91.151.050.950.850.82019年4月2019年5月2019年6月2019年7月2019年8月2019年9月2019年10月2019年11月2019年12月2020年1月2020年2月2020年3月2020年4月2020年5月2020年6月2020年7月2020年8月2020年9月卸売・小売医療・福祉建設業製造業宿泊・飲食正規雇用者卸売・小売医療・福祉建設業製造業宿泊・飲食非正規雇用者 ファイナンス 2021 Jan.68シリーズ 日本経済を考える 108連載日本経済を 考える

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