ファイナンス 2021年1月号 No.662
62/100

の使い方チャートほか)を作成して、英国政府関係に自己紹介しつつ回りながら、民間の事業者団体、英国のアクセラレーター、英国のVC、(紹介を受けた)英テックスタートアップなどを足繁く回りました。まずは会う。英国政府の日本アジア担当などは彼らのカバー範囲に自分が入るので肩書だけで会ってくれる場合が多いが、民間となると、多少なりとも相手に役立つ要素を入れないとアポ自体が、成立しにくい。会議のアジェンダなしで“着任ご挨拶”のような面会は、時間泥棒と言われてしまいます。(日本だと許されることが多いのですが)。著名なアクセラレーター(Level39など)に話しに行った際は、「日本からの視察で来る人々の多くは、なんのために来ているのか理解不能だ。投資までは至らずとも業務提携の話すら、今はいい、と言って具体な中身のある会話をしないで見学だけ。」などと、愚痴をこぼされたこともありました。自己紹介がてら、得意分野(自分が役に立てること:英日連携、イノベーション政策の解説と使い方、実際の利用開始までの助言は誰よりも詳しい(はず))を軸に自己紹介し、そして、現在のカバー範囲を説明する、相手によって自分ができそうなことを使い分けることを心掛けています。忙しい売れっ子の相手には、初回のメールから、(1)私は何者であるか=CV添付(Linkedin上の英文プロフィールを精緻に作っておきURL貼ると楽です)、(2)会うと何かいいことあるのか=自分のプレゼンテーションから得られることをポイント書き、(3)いつ会えるのか=自分の往訪可能日時候補、までの3点セットでメールしてみています。返信がなくてもいちいち落ち込まない。数打って改善すれば物凄くアポ率は向上する。金曜の3時以降は送らない(相手は仕事モードになっていない)昔、経営戦略コンサルティングファームにいた縁もあって、BCGロンドンオフィスのネットワーキングにて知り合った初対面の先輩には、英語のスライドを見てくれないか(厚かましく)頼み、短時間で、「違う、この*37) 「代打」の機会が「芋づる式」に繋がることも時々あります。英日法律協会において英国法の弁護士さんが、ブロックチェーン技術を用いたビジネスモデル例とルールメイキングの例を学びたいという場に登壇・解説をしたところ(2018年10月)。共同登壇者だった、刑法と会社法におけるブロックチェーン技術の活用を研究するジョー教授(グラスゴー大学)と意気投合。彼がキプロス共和国の会場で主催する多国間教授陣ネットワーキング(金融法・会社法)の場に招待いただき、休暇で往訪して参加・登壇・意見交換(2019年4月)。その場で知り合った学術誌の編集者ヴァージニアさんと意気投合。ここまでの学びを英語論文にて寄稿・出版物(Banking and Finance Law Review)に載せてもらうことに至ったということもありました。表現は、with Blockchainではなくて、based on Blockchainだ、わかるか?あと、このスライドはこの順序にした方がストーリーが解かりやすいではないか。」などと、焼いてもらう(=合理的な修正意見をもらう)こともやってみました。(2) 「代打」からでも機会をつかむ。自腹ですぐ「行動」。個人的に仲良くなることを目指す。前述の1のように、得意分野をもって何ができるかを自己紹介しつつ回っている時折、「代打」の機会も降ってきます*37。アイルランド財務省・投資庁の行うフィンテックカンファレンスがあり日本からの登壇者に都合重複が出たというときにその代打を引き受け、休暇を取ってダブリンに飛んでパネルディスカッションに登壇してきました。写真8 アイルランドのフィンテックカンファレンス登壇風景このときに知り合ったアイルランド財務省の金融チームのヘッドが大変よい人で、ギネスビールを飲みながら、政府の一員でもイノベーション促進の動向を学び続ける必要性などについて意気投合し、その後、ロンドンに赴任している後輩(在英アイルランド大使館の書記官)を紹介してもらい以後もよくお互いの国57 ファイナンス 2021 Jan.連載海外 ウォッチャー

元のページ  ../index.html#62

このブックを見る