ファイナンス 2021年1月号 No.662
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年で禁止」というように読めます。詳しい条件が不明なものの、記者の感触を聞いても「おそらくプラグインハイブリッドのようなものしか認められないのではないか」。「せいぜい英国で製造しているトヨタのハイブリッドまでで、マイルドハイブリッドは対象外になるのではないか」というところ。業界とも調整した上で発表しているようですが、いずれにせよ、各国の情勢と横比較しても英国はかなり厳しい規制なのは間違いないという印象です。投資ファンド関係者と話した際に、これまでも自動車部品などの製造業のうち、エンジンなど燃料車に特有なものの株価は伸び悩み、窓ガラスや軽量素材など電気自動車でも共通のものの株価は上がるという動きがあり、今後もその傾向は続くだろう。自動車産業に関連する、保険テクノロジー(InsTech)にも少なからず影響が出てくる話かと思います。グリーンといえば関連して、3月23日から続いていた英国の初回ロックダウン、その後7月4日に店舗が開くまで外出が制限され非常に苦しい期間でしたが、このような中でも5月9日に、一部緩和見込に関連して、英国政府が、自転車と徒歩を交通政策の中心に据えた20億ポンド(約2,647億円)の交通インフラ整備パッケージを打ち出していました*30。詳細は後ほどとしつつも、2025年までに自転車の利用を2倍にするとともに徒歩での移動を増加させる方向性と、まず250万ポンドを投じて自転車や徒歩移動の安全性を向上させる緊急措置(自転車レーンの整備、歩道の拡張、自転車及びバス専用道の整備など)を打ち出していました。その後7月27日に、イングランドの自転車・徒歩交通計画Cycling and walking plan for England*31としてリリースしていました。公立小学校が再開となった6月9日から、平日毎朝自転車で子供を学校まで送っていたのですが、自転車専用道の整備はめざましいものがありました。車道をまるまる一車線つぶして自転車専用道にしていくので、テムズ川に掛かる元から4-5車線あった太い橋でもちょっと朝夕は交通渋滞、排気ガスもくもく気味な状況です。*30) https://www.gov.uk/government/news/2-billion-package-to-create-new-era-for-cycling-and-walking*31) https://www.gov.uk/government/publications/cycling-and-walking-plan-for-england写真6-1 自転車専用道の様子元から道が狭い金融街シティでは、95%近くが在宅勤務でオフィス需要なく飲食店もしまってゴーストタウンのようになっていますが、ここも車道が狭くなっています。健康診断に久々にシティに移動したある日、配車サービスUberのドライバーが「住居も少なく自転車通勤需要もないこんな中心地域にまで自転車専用道を作るなんて、狭いし混むしいいことがない」と言っていたのが印象的です。何かをやるときは必ず軋轢は生じるもの。とにかく、やると決めたら突き進む、特に環境に関する執念はすさまじいものを感じます。自転車専用信号もあり、青になったら往来4車線を斜め横断するという少し大胆な仕組みもありました。53 ファイナンス 2021 Jan.連載海外 ウォッチャー

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