ファイナンス 2021年1月号 No.662
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最近、英財務省から募集があり、Shuheiも受けたらどうだと知人から薦められた(※国籍要件に入りません)日本の課長補佐級に当たるSenior Policy AdvisorのPayment and FinTechは、年52,500–57,500ポンドというところ(約729万円~798万円)でした。英国で普及する決済周りの金融テクノロジーの規制の策定と業の促進に携わるということで、公務員の割には、民間で裾野の広い分野ゆえなかなか人気がありました。このように専門性一本釣り経験者採用で入るのが英国政府全体で約半分程度はいるとのこと、省庁間を跨いだ転職も一般的であり、外務省などを除けば、最初の入省時の省庁も最近はあまり意味がなくなってきているようです。(3) 98%が在宅勤務、コミュニケーションの度合は、情報格差はあるのか英国家統計局によれば依然98%の職員が在宅勤務をしており、コミュニケーションの99%がオンラインである。しかし「情報格差」は一切ないという統計も出ていました。英財務省や英外務省にそれとなく在宅率を尋ねても、「もう本当にオフィスには行かない」、「正確に数えてないけど、出ているのは、警備の人と、大臣に説明するときだけシニアな幹部くらいではないか」と言うのである(なお、その幹部への若手からのレクはオンラインである。付き合って出勤している者はいない。)英国公務員はなぜそんなにできるのだろう、一つの仮説は、終身雇用ではない、わりとすぐ民間転出あるし、出戻りも他省庁ポスト転職もある、ゆえに過度に気を遣わないでよいという点がありそうです。今は新型コロナ下で、オンライン面会のみなので、課長が外部と意見交換するときにメンバーを5人くらい聞かせておいているという例もありました。他方で、1を聴いて先を読んで10の行動が出来る優秀な人がいるのが日本の霞が関。これは凄い。コミュニケーションの密度は圧倒的。私は入省直後に、上司の電話を近傍の席で聞き耳を立てるのもキャリア若手の仕事のひとつ、トイレ以外は席を立つな、などと言われていました(今はどうなのでしょう)。在宅勤務だと情報格差があるのかないのかは受け手の基準にもより、日本人の完璧主義に対応できるほどの密度ではない、が英国政府としてはそれで回っているし困っていない、ということなのかもしれません。5. 【アントレプレナーシップの育成(企業支援か、個人の生業支援か)】アントレプレナーシップ(起業家精神)の育成は、英政府で省庁横断の大きなテーマになっています。新産業の育成は大事、国内で選抜・育成という思考のみならず、海外からも呼び込むという思考。またキラキ英国財務省(HM Treasury)の組織11 Executive Management Boardトム・スカラー財務次官SirTom ScholarPermanent Secretary2013-現職2008-副財務次官Katharine BraddickDirector GeneralFinancialServicesMark BowmanDirector GeneralInternational and EUCat LittleDirectorGeneralPublic SpendingDeputy DirectorCommunicationsMinisterial CommunicationsBeth RussellDirectorGeneralTax and WelfareDirector –Operations Corporate centreClare LombardelliDirectorGeneralChief Economic AdvisorDirector–FinanceCorporatecentreチャールズ・ロックスボー副財務次官Charles RoxburghSecondPermanentSecretary2016-現職2013-金融局長金融制度の企画立案(中央銀行,PRA,FCAとの調整)国際金融,EU関係等(外務省,内閣府との調整)税・厚生・年金等(歳入関税庁,雇用年金省との調整)予算全般(首相官邸・内閣府との調整ほか)2020-現職2017-防衛省総合予算課長2013-法律省財務パフォーマンス課長(PwC出身,2013年英政府入り)経済分析フィリップ・ダフィー成長・生産性局長2020-現職2017-大蔵省企業成長課長2014-英国国境庁COO(首席オペレーティングオフィサー)2011-内務省入国管理・国境政策課長(2003年英政府入り、住宅政策や環境ほか)Philip DuffyDirectorGeneralGrowth and Productivity 成長戦略・生産性向上Non-Executive他幹部Deputy DirectorChancellors OfficeMinisterial CommunicationsHon Lord HillNon-executive Board以下、民間出身の有識者Gay Huey EvansNon-executive BoardRichard MeddingNon-executive BoardTim ScoreNon-executive Board2013-現職2011-国際開発省局長(人道・安全保障・紛争・国際金融担当)(1995 大蔵省)2017-現職2013-所得税・年金課長2011-財務大臣秘書官・大臣室首席事務官(1996 雇用年金省出身、2000-大蔵省)2014-現職2012-PRA プルデンシャル政策課長2001-FCA 銀行政策課長(環境省出身,英国保険協会の勤務経験)出所:https://www.gov.uk/government/organisations/hm-treasury(左記ページのOur managementから作成)オペレーション担当大臣室担当広報担当財務担当キャサリン・ブラディック金融局長べス・ラッセル税・厚生局長キャット・リトル予算局長クレア・ロンバルデリィ首席経済アドバイザー局長マーク・ボウマン国際局長 ファイナンス 2021 Jan.50海外ウォッチャーFOREIGN WATCHER連載海外 ウォッチャー

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