ファイナンス 2021年1月号 No.662
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ら集めていくのを見て、このような動きが日本でも若手発でできているのかと、心強く感じました。霞が関の中だけで、「各府省庁への作業依頼」を行うだけでは見られない効率の良さの要点として、上記のような、「関係者の巻き込み力」「公開ツールの使い分け」のほか、「依頼時の類型化・整理学の巧さ」も挙げられます。●個人を構成する5分野(仕事、生活、娯楽、教育、医療)●3つの時間軸(AGAINST コロナ=自粛要請期、WITHコロナ=コロナの存在を前提にしつつ長期的に再拡大防止に配慮して生活や経済活動を継続する状態、AFTERコロナ=コロナが収束した後の社会への提案)●3つの手段(Policy=制度やルールで解決、Tech=技術で解決、Culture=慣習や文化を変える必要)、などの型を提示することで、提言が集まりやすくなる点も勉強になりました。この結果、英国と同様に日本も感染拡大で大変であった4月13日~5月15日の約4週間で360件の事業アイデア*9が集まると同時に随時公開、精査した案も公表し、特に地方自治体とスタートアップ企業の繋ぎ手となったのだそうです。写真2-4 投稿アイデアサマリー(国の個人口座、受診前相談)*9) https://note.com/pmi/n/n2abc15606802*10) 国家安全保障・投資法案の関連文書 https://www.gov.uk/government/collections/national-security-and-investment-bill#bill-documents*11) 英政府は、下記の17分野の取引の一部が義務的な通報の対象となると想定しておりこれらの分野のどの部分を網羅すべきかについては協議していく。(1)民間原子力(2)通信(3)データ・インフラ(4)防衛(5)エネルギー(6)運輸(7)AI(8)自律ロボット工学(9)コンピューター・ハードウェア(10)暗号認証(11)先端材料(12)量子技術(13)工学生物学(14)政府に不可欠な物品又はサービスの提供を行う者(15)緊急サービスに不可欠な物品又はサービスの提供を行う者(16)軍事または軍民共用の技術(17)衛星及び宇宙技術写真2-5  投稿アイデアサマリー(国会図書館デジタルコレクション活用、有事の際の個人スキル共有)前述の、ジャージー政府とスタートアップ企業の結びつきで資源の最適化を行った例や、英国政府が地域発ビジネスを発掘・後押ししたコンペティションの例のように、こうしたクイックな動きが、地域の社会課題を解決する方向に進んでいけば良いなと切に願っています。3. 【そんな事までパブコメ? 官民の距離感が柔軟な英国政府】(1)外資投資規制11月11日、潜在的に国の安全に脅威となる海外からの直接投資(FDI)に対する政府の調査及び介入の権限を強化する国家安全保障及び投資法案*10を提出したのですが、ここの今後定義するというところの考え方が興味深いところがありました。そのポイントは、●ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)内に投資安全保障ユニットを置き、監督する。投資家・企業は政府の専門ユニットに対して専用のデジタル・ポータルを通じて取引を通知しなければならない。BEISはこれを30日以内に審査する。●通知を義務付けられるのは通信ほか17部門に関する取引*11。どのようなタイプの取引に関して通知を義務付けるかは今後定義する。土地や有形動産、知 ファイナンス 2021 Jan.46海外ウォッチャーFOREIGN WATCHER連載海外 ウォッチャー

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