ファイナンス 2021年1月号 No.662
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0.【はじめに】こんにちは、H24年(2012年)経験者採用の片岡修平です。以前は経営戦略コンサルや投資ファンドの前線で働いていましたがそこでは触れにくい(利益が上がりにくい、民間資金が流れにくい)分野でも積極的にパブリック側から支援していきたいという思いで財務省に来て早9年目(係長2年→補佐7年目)。財政金融担当の外交官を拝命し英国ロンドンに来てから2年半が過ぎました。本稿では、こちらで飛び回り出会った方々(Before Covid-19,最初の1年半で名刺1,500枚)や接点開拓の取り組み、主な出来事(日英EPA、Covid-19対応)の概要と所感、歳出に力を入れる教育や、興味深い公務員の世界の日英の違いと所感、などをご紹介したいと思います。1. 【日英EPAのイチオシポイントが、デジタル&データはどういうこと?】日英EPA(経済連携協定)の影響で意外と見ておくべきところに、デジタル&データの話があり、ここには「イギリスと日本の間でテック企業が相互に進出しやすくなる」というトレンドが眠っていると感じています。*1) 日英EPA外務省公表資料 (総論。経緯と意義に力点。ルール分野の中に、ソースコード開示要求の禁止の対象にアルゴリズムを追加、との記載) https://www.mofa.go.jp/mofaj/les/100092224.pdf ◯農林水産省 (農畜産物品目ごとの関税、→日本とEUの経済連携協定との比較に力点) https://www.maff.go.jp/j/kokusai/renkei/fta_kanren/uk/jpuk_epa.html ◯経済産業省 (鉱工業品の関税)→うちの所管物資は100%関税を撤廃してる旨に力点 https://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/le/kokogyouhin-kanzei-ari.pdf ◯財務省 (酒、たばこ、塩の関税)→日EUの経済連携協定と同内容維持ですが、日本ワインの輸出規制撤廃や、酒類GIは、地味に大事で力点。 https://www.mof.go.jp/customs_tariff/trade/international/epa/20200911_1.pdf*2) 駐日英国大使館による日英EPAまとめhttps://twitter.com/UKinJapan/status/130433590632582758412月には日本でも国会で批准された(※執筆時点では不明)の日英EPA(経済連携協定)*1、これって「関税の話が多いな」と思ってみていませんでしょうか。たしかに日本の報道では、そのような印象も受けるのですが、意外と、英国の視点は異なります。(1)英国の売り出す視点まずは駐日英国大使館のツイート「日英EPA成果まとめ」のURL*2をご覧ください。まず第一に「デジタル&データ」が出てきていていいな、こちらの方が実感にあうなと思って見ていました。第二に金融サービス。第三に英国産ニットとビスケット。この辺にお国柄を少し感じられてほっこりします。進出しやすくなるとはどういうことでしょうか。具体的には、もし日本のテック企業がEUに進出する場合、そこで相手方政府から「ようこそ。では、貴社のFOREIGN WATCHER海外ウォッチャー英国と日本の関係強化 ~イノベーションと公共政策のあいだ、 ウィズコロナ時代の英国政府の意外な7点~在英国大使館 一等書記官 片岡 修平41 ファイナンス 2021 Jan.連載海外 ウォッチャー

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