ファイナンス 2021年1月号 No.662
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「地方創生推進交付金」を活用した事業を企画し実行していますが、この結果から、必ずしも事業が思うような成果をあげられていないケースもあるのではないかという仮説が出てきました。その背景の一つとして、ややもすれば「地方創生推進交付金」を獲得することが主眼となってしまい、主体的な知恵・アイデアに基づく、持続可能なビジネスモデル(稼げる事業)を組み立て実行していくという面に課題があるように見受けられました。地方創生に取り組むに当たっては、「創意工夫を凝らして、自分達の力で新たなことに挑戦していく」人材を育成し、人材が活躍できる組織を作り上げていくことが重要になってきます。そのためには、「長期にわたる地道な取組みが不可欠ではないか」という問題意識の下、地方創生の一翼を担っている東北財務局として、地方公共団体とともに「人材育成や組織作りについて考えていく」こと、そして「自らの職員の育成や組織作りにも取り組みたい」との思いでシンポジウムを開催したものです。シンポジウムでは、財務局が抱いた問題意識にご賛同いただいた早稲田大学マニフェスト研究所との共催という形式で行いました。元三重県知事である早稲田大学名誉教授の北川正恭氏の基調講演では、・将来のありたい姿から、現在のなすべき取組みを決めていく「バックキャスティング」・法令や通達で決められたことだけをするのではなく、使命にもとづき行政に取り組む「ミッションオリエンテッド」・良い取組みは自治体同士で「TTP」(徹底的にパクる)ことが地方創生につながるなどのお話しを頂きました。また、出演いただいた宮城県女川町の須田善明町長や青森県むつ市の宮下宗一郎市長からもwithコロナ時代において、自治体職員として、変化を受け入れることやITを活用した取組みの重要性などについて、示唆に富むお話を頂きました。北川教授からは、「国の機関がこのような根源的な見えない課題と向き合ったシンポジウムを開催するのは従来では考えられない、素晴らしい取組みだ」というありがたいお言葉を頂きました。また、自治体のトップである首長がどういうことを考えているのかということは、通常の業務ではなかなか知りえない事柄であり、視聴した東北財務局の職員からも「自身も仕事の変化に対応しなければならないと思った」「とにかくやってみる(トライアンドエラー)が大事」といった声が聞かれました。スタジオの光景。挨拶する原田局長(左)と司会の千葉企画係長(右)2R2.11.23「withコロナ時代の地方創生vol.2~自治体職員に学ぶTTP~」6月のシンポジウムを受けて、11月23日には、第2弾を開催しました。この第2弾は、「自治体職員の立場(=職員目線)」から、行政運営についての「気づき」を得るこが目的です。自治体の職員同士の情報共有の場として「東北まちづくりオフサイトミーティング」を立ち上げた、山形市役所の後藤好邦さんを中 ファイナンス 2021 Jan.30全国財務局初のYouTubeライブシンポジウム! SPOT

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