ファイナンス 2021年1月号 No.662
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・ODA予算については、規模の拡大を図るのではなく、真に必要な地域・分野に重点化すべき。無償資金協力については、予算配分の大枠の設定などメリハリ付けの取組を継続すべき。国際機関への拠出に際しては、邦人の幹部層への登用に向けた取組も考慮すべき。事前の目標設定・事後の評価・説明という検証サイクルがないまま、在外公館を新設・昇格することは厳に慎むべき。・政府の情報システム予算については、政府方針に沿って、予算・調達の一元的管理を通じてクラウド化や重複機能の共通化、システムの最適化等を進め、情報システム投資の合理化を図るのみならず、運用・改修経費の削減を通じた中長期的なコストの逓減を目指すべき。また、前記方針により削減した経費を明示し、新たな情報システムの整備・運用等に充てる際も、費用対効果を明らかにすべき。9.情報システム・新領域(宇宙・サイバー・電磁波)の急速な発展など、不確実性を増す安全保障環境に機動的に対応できる予算編成を行うため、将来の予算に硬直化をもたらす新規後年度負担額を抑制することが必要。・限られた資源を有効活用するため、安全保障環境の変化に対応した人材確保・配置(組織の垣根を超えた柔軟な人事)、防衛力整備水準の向上につながる調達改革(プロジェクト管理体制・権限の一貫性の担保)等を確実に実施すべき。・2050年までのカーボンニュートラルの達成のためには、温暖化対策を産業構造・経済社会の変革や革新的なイノベーションにつなげていく必要。また、規制的手法や予算措置その他の支援策を分野横断的なパッケージとして取り組む必要。特に、エネ特事業については、民間の自主的な取組を促すとともに事業官庁の縦割りを排しつつ、抜本的に見直し、重点化していくべき。・ESG投資等、民間の投資資金の活性化及び活用等を強化していくため、情報開示に係るガイドラインなどの整備を進めていく必要。6.エネルギー・環境10.防衛8.外交関係・新陳代謝の促進のためには成長分野や成長企業への人材・資源の移転の促進や新規創業者支援の在り方が重要であり、予算面でも事業承継や新規創業等のし易い環境整備等に支援を重点化する必要。また、IT導入補助金等について真に中小企業のデジタル化・DXに資するものに重点化すること、中小企業向け補助金の対象者を政策目的を踏まえて適切に絞り込むことも必要。・新型コロナの下での経済の動向も見つつ、持続化給付金及び家賃支援給付金については、予定どおりに終了させ、仮に支援を継続する場合には、業態転換等の前向きな取組を行う中小企業に特化した支援とする必要。資金繰り支援についても、ウィズコロナ・ポストコロナ社会に対応するための前向きな取組に対する支援への移行を検討する必要。7.中小企業・文教・科学技術分野における課題は、予算の「量」の多寡ではなく「質」の向上とエビデンスに基づく政策立案。・義務教育については、「端末1人1台」を前提とした教育コンテンツや校務の効率化、必要な教員と外部人材の人数・配置や質の確保、学校施設の在り方を含む「新しい教育の在り方や学校の在り方」を総合的に検討すべき。・国立大学については、引き続き「相対評価」の仕組の充実・強化を図るとともに、オンライン授業の有意義な部分を伸ばすための規制改革を含む「ポストコロナ時代の大学教育の在り方」について検討すべき。・科学技術については、我が国の研究力向上に向け、研究の硬直性、閉鎖性、若手研究者の活躍の機会の不足、産学連携の弱さを改善し、研究開発の生産性を向上させていくことが急務。・新型コロナ対応を名目とする安易な歳出拡大を許容することなく、一般財源実質同水準ルールの下で歳出改革を進めていく必要。・新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金について、地方公共団体は、効率的かつ効果的に活用し、実施状況や効果について説明責任を果たす必要。・地方単独事業(ソフト)の決算については、データの経年比較や政策効果の検証など「見える化」された情報を活用していくことが重要。・地方公共団体の業務プロセス・システムの標準化・共通化を行うことを通じ、国が情報システム経費の3割削減の目標を掲げていることを踏まえ、地方の情報システム経費の縮減について検討する必要。・下水道事業を持続可能なものとするには、合理的な経営と定期的な使用料改定が不可欠。受益と負担の関係を明確にするため、公営企業会計の導入を促進する必要。・足元での公共事業予算の執行状況、建設業の人手不足に係る懸念、国際的に見た公共投資の相対的水準、さらには厳しい財政事情を踏まえれば、予算規模の量的拡大よりも優先順位を付けて配分の重点化をしっかりと推進することが肝要。・今後の社会資本整備に当たっては、人口減少を前提とした上で、ストックの集約・長寿命化や新規整備の重点化による人口一人当たり維持更新コストの増加抑制に留意しつつ、①ハード・ソフトが一体となった防災・減災対策、②「交通需要マネジメント」とあわせたコンパクト・プラス・ネットワークの推進、③民間資金・ノウハウを活用した生産性向上に向けた投資、に国費を重点化すべき。・大規模な農業経営体が、収益性が低く補助金交付の多い転作作物を作付けする傾向にある現状を脱却し、転作農地を活用して、海外マーケットのニーズを踏まえた高収益作物を作付けする輸出基盤としていくべき。・いわゆる「生産現場」に目を向けた施策に加え、流通・小売を含めたサプライチェーン全体を視野に入れて展開し、デジタル技術を活用しながら消費者ニーズに対応した新たな価値を創造すべき。・人口減少が著しい中山間地域は、農地が無計画に荒廃していかないよう、どこまでを耕作地として維持し、どこまでを粗放的管理に委ねるのかなど、各地域での具体的な管理の在り方を検討すべき。2.地方財政3.文教・科学技術4.社会資本整備5.農林水産 ファイナンス 2021 Jan.22財政制度等審議会「令和3年度予算の編成等に関する建議」について SPOT

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