ファイナンス 2021年1月号 No.662
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による調達が22兆円から83兆円へと大幅に増加し、割引短期国債に依存することとなった。短期間で多額の償還と借換えが生じることになる現状を踏まえれば、しっかりと財政規律を確保し、景気回復期などにおける金利上昇に備えておく必要があると述べられている。また、新型コロナへの対応に伴う足もとの債務残高の増大や海外投資家の影響力の高まりを踏まえれば、財政健全化に向けた揺るぎない決意と行動を国内外の投資家に示すことの重要性は、高まりこそすれ減じることはないとしている。(5)危機管理としての財政健全化の重要性今回の新型コロナをはじめ、事前には予測できなかった出来事が数年に一度のペースで発生している。政府には、危機や災害の頻度や規模について不確実性が高まる中で、大きなリスクにも耐え得る回復力を兼ね備えた財政を作っていくことや、次の世代への責任を果たせるような安定的な財政構造を目指し、財政の危機管理を行っていくことが求められている。こうした観点から、現在の異例の金融緩和政策を所与の前提として、財政規律が失われた形で節度のない国債発行を行うようなことはあってはならないと指摘されている。そして、上記の点に鑑み、感染拡大防止と両立させながら社会経済活動を活性化させていくとともに、2025年度のPB黒字化目標に向け、これまでの歳出改革の取組を着実に進めていく必要があるとしている。政府としては、財政健全化の重要性に加え、新型コロナへの対応や日本経済の現状と課題も含めて総合的に考え方が示された今回の建議をしっかりと受け止め、財政運営に活かしてまいりたい。(財政制度等審議会財政制度分科会の審議風景) ファイナンス 2021 Jan.20財政制度等審議会「令和3年度予算の編成等に関する建議」について SPOT

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