ファイナンス 2021年1月号 No.662
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マイナポータル連携は、年末調整手続においては令和2年10月から利用可能となっており、保険料控除申告書や住宅ローン控除申告書の作成の際に、控除証明書等のデータを一括入手・自動入力することが可能となった。この年末調整手続におけるマイナポータル連携は、「年末調整手続の電子化」が前提となっていることから、「年末調整手続の電子化」について紹介する。従業員、勤務先の負担が減り入力ミスなどもなくなる令和2年分の年末調整から、生命保険料控除、地震保険料控除及び住宅借入金等特別控除の控除証明書等が電子データで従業員の勤務先へ提供できるようになり、これに伴い、年末調整手続の電子化が進められている。これまでの年末調整手続は、(1)従業員が、保険会社、金融機関、税務署等(以下「保険会社等」)から控除証明書等を書面で受領、(2)従業員が、保険料控除申告書又は住宅ローン控除申告書に、受領した書面に記載された内容を転記の上、控除額を計算し記入、(3)従業員が保険料控除申告書及び住宅ローン控除申告書など、年末調整の際に作成する各種申告書(以下「年末調整申告書」)を作成し、控除証明書等とともに勤務先に提出、(4)勤務先は提出された年末調整申告書に記載された控除額の検算、控除証明書等の確認を行った上で、年税額を計算するという手順で行われていた。年末調整手続が電子化されると、(1)従業員が、保険会社等から控除証明書等を電子データで受領、(2)従業員が、国税庁ホームページ等からダウンロードした年末調整控除申告書作成用ソフトウェア(年調ソフト)*に、住所・氏名等の基礎項目を入力し、受領した電子データをインポート(自動入力、控除額の自動計算)して、年末調整申告書の電子データを作成、(3)従業員が、(2)の年末調整申告書データ及び(1)の控除証明書等データを勤務先に提供、(4)勤務先が、(3)で提供された電子データを給与システム等にインポートして年税額を計算する手順に変わる。年末調整手続を電子化することにより、従業員、勤務先の双方にメリットがある。従業員は、これまでの手書きで行ってきた年末調整申告書の記入や控除額の計算など省略できる。また、書面で提供を受けた控除証明書等を紛失した場合は、保険会社等に対し、再発行を依頼しなければならなかったが、その手間も不要となる。勤務先は、従業員が年調ソフトで作成した年末調整(参考)マイナポータル連携と年末調整手続の電子化令和2年10月スタート年末調整の電子化とは勤務先(給与担当者)従業員これまでの年末調整では…手書きで作成…検算等が必要…書面提出令和2年10月からは従業員勤務先(給与担当者)データ提出控除証明書等データ利用で自動計算給与システム等に取り込み、自動チェック、年税額計算11 ファイナンス 2021 Jan.

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