ファイナンス 2020年12月号 No.661
94/98

1はじめに平成30年7月の西日本を中心とした記録的な大雨(「平成30年7月豪雨」)では、同時多発的な河川の氾濫、土砂流出などにより、広域かつ甚大な被害が発生し、多くの尊い命と財産が失われました。災害発生後、中国財務局では被災公共団体に対し活用可能な国有財産の情報提供を行い、利用要請のあった公共団体に「被災者の方々の応急住まい」や「土砂の仮置場」等として公務員宿舎や未利用地等の無償提供を行いました。本欄では、広島県安芸郡坂町に提供した未利用国有地が、「平成30年7月豪雨」災害からの復旧・復興に活用されている事例をご紹介します。2坂町の概要坂町は広島県の南西部にあり、人口約1万3千人、面積約15.67km2の町です。県庁所在地の広島市及び呉市に隣接し、JR呉線、広島呉高速道路、海田大橋(ひろしまベイブリッジ)、国道31号により、両市の中心市街地へ約20分でアクセスできる交通利便性の高い町です。また、広島湾に面する西日本最大級の人工海浜地(ベイサイドビーチ坂)や湾内を一望できる山など豊かな自然環境に恵まれています。3被害の状況平成30年7月6日、坂町では、これまで経験のない記録的な豪雨に襲われ、町内全域において、土石流や土砂崩れが発生しました。加えて、大量の土砂や流木が橋梁に留まったことにより、河川の水が市街地に流入し、広い範囲で浸水被害が発生しました。また、山腹の崩壊により広島呉道路が崩落し、JR、国道などの陸上交通網も遮断されるなど、甚大な被害を受けました。広島呉道路流木等が留まる総頭川の橋梁(中心市街地)住宅街の被災状況災害直後の町内の状況(提供:坂町・国土交通省)4災害復旧・復興に向けた国有地の 提供災害発生後、坂町から、当局から情報提供した活用可能な国有財産のうち、広島湾沿いにある未利用国有地(以下「本件国有地」という。)の利用要請を受けました。当局は、平成30年7月15日から本件国有地の無償提供を開始し、以下のとおり、坂町の災害復旧・復興事業に順次活用していただいています。【財産の概要】広島県安芸郡坂町鯛尾 5,209m2(旧第六管区海上保安本部広島航路標識事務所庁舎及び宿舎跡地)国有地を活用した「平成30年7月豪雨」災害からの復興中国財務局管財部上席国有財産管理官諸田 和洋坂町90 ファイナンス 2020 Dec.連載各地の話題

元のページ  ../index.html#94

このブックを見る