ファイナンス 2020年12月号 No.661
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各地の話題3利用方針の検討本財産が留保財産に選定された時点で、既に目黒区において地域住民の意見やマーケットサウンディング(市場調査)が行われており、東京財務事務所との間でも活用方針について具体的な検討が進められていたことから、本財産の利用方針の策定にあたっては、目黒区からの活用方針案を踏まえて検討していくこととしました。ちなみに目黒区からは概ね以下のような活用方針案が示されております。《導入すべき施設》・防災備蓄倉庫 ・コミュニティ拠点・スーパーマーケット ・特別養護老人ホーム・歩行空間・広場《導入が望ましい施設》・利用者がくつろげるカフェ空間、ワークテラス・クリニックや飲食店等上記以外に、その他活用に当たっての諸条件等が示されてきています。4建物解体撤去工事また、本財産の活用にあたっては、定期借地権による貸付けが前提となりますので、今年度、建物解体撤去工事を実施しております。工事期間中は、騒音や粉塵も発生しますし、住宅街を大型車両が通ることにもなりますので、住民への事前説明は丁寧に行う必要があると判断し、目黒区の協力をいただき、近隣の小学校体育館において住民説明会を実施しました。コロナ禍にあって、出席者の検温、アルコール消毒等、実施後は使用した机と椅子をアルコール消毒液で拭き取るなど、十分な対策を行い実施しました。コロナ禍で出席を躊躇する住民が多いのではとの危惧もありましたが、2mのソーシャルディスタンスをとった100席がほぼ埋まるほどの出席があり、改めて本財産に関する地元の関心の高さを感じたところです。5今後について現状、足もとまでのご紹介をいたしましたが、この記事が掲載される12月には、目黒区から活用方針が提出される予定であり、国としても、令和3年2月ないし3月に開催予定の国有財産関東地方審議会へ利用方針について諮問を行った上で、正式に本財産の処理方針が決定することとなります。その後、利用方針に基づいて、目黒区と開発条件等の調整を行うなど準備を進め、早ければ令和3年度中に二段階一般競争入札(企画提案、価格競争)を実施し、落札した事業者と定期借地契約を締結して、開発が進んでいくこととなります。 駅前は、人々を迎え入れる、地域の「顔」となるべきエリアです。駅前の擁壁を建物とし、スーパーマーケットや外部開放型カフェを設置するなどにより、活き活きとした街の形成を図ります。 駅前の にぎわい 整備イメージ図(例)6終わりに本財産は、予定どおり処理が進めば、留保財産として利用方針を決定する、全財務局内における第1号事案になるかと思います。目黒区や地元住民とも良好な関係を築き、区と連携しながら策定を進めてきた利用方針がどう実現するのか、今から期待しながら、50年後の将来世代において、本地がどのように活用されていくことになるのか、50年後は確実に定年退職している身でありながら、少し思いを馳せているところです。 ファイナンス 2020 Dec.89連載各地の話題

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