ファイナンス 2020年12月号 No.661
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空き店舗を活用したまちづくり~化学反応が起きるまちコザ~沖縄市 経済文化部 企業誘致課 主事木下 翔矢1沖縄市コザ異国情緒漂う街並み、英語と日本語が交わるコザの夜はディープな雰囲気に包まれています。那覇空港から車で約30分のここ沖縄市は、人口14万3千人、沖縄本島の中心から少し南に位置しており、沖縄最大級の夏祭「沖縄全島エイサーまつり」の開催地でもあり、音楽やエイサーが盛んな地域です。米軍嘉手納基地の門前町であり、かつては軍人相手の商売で財を成した商店街で賑わった土地でもあります。沖縄随一の繁華街として栄えた沖縄市コザは、1990年代に差し掛かると衰退を見せ、いわゆるシャッター街となっていました。そんなコザの街も、1970年代の活気が戻りつつあります。その中心にあるのが、商店街の中にある沖縄市創業支援拠点「StartupLab Lagoon(スタートアップラボ ラグーン、以下Lagoon)」です。ネオンが煌めく夜のコザ2中心市街地の変貌、設立の経緯これまでの沖縄市は、中心市街地に空き店舗が増加しており、県内でも高い失業率、低所得といった課題が山積していました。また、市内に高等教育機関が少なく、人材育成機会が不足しているという現状もありました。そこで、(1)ワンストップ相談窓口、(2)先端ICT人材育成、(3)ニアショア拠点形成などの事業を柱に、新たな地域活力を創出する手段として、起業家の支援に積極的に取り組むため、商店街の空き店舗を活用し「スタートアップカフェコザ」を発足しました。2016年8月に始動した同施設が求心力となり、ここ数年中心市街地への来街者も若者を中心に増え、まちの新陳代謝が活発化している要因となっています。これまでに施設を訪れた人は延べ8万人を超え、周辺には60もの店舗が新たに開店しました。3、4年前はオーナーが貸す意向を持つ空き店舗が全体の15%程度でしたが、飲食店を中心に出店が相次ぎ、現在ではほとんど空き店舗は見当たりません。今後店舗として利用可能な閉鎖テナントをどう掘り起こすがが課題となっています。商店街内にあるLagoon沖縄市86 ファイナンス 2020 Dec.連載各地の話題

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