ファイナンス 2020年12月号 No.661
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「はりま」の穀倉地帯にはミネラル分が多い粘土質の農地が広がり、米が登熟する時期には一日の気温差が大きくなる。こうした気候風土が、山田錦に心白の形状、脂肪やたんぱく質の少なさなど、清酒原料として良い影響を与えている。また、昭和11年に誕生した山田錦は、現在に至るまで原種が管理され、主要農作物種子生産条例(兵庫県条例第31号)により厳格に米の品質を守ることにより、兵庫県に山田錦を根付かせてきた。「はりま」の清酒は総じて、口当たりは柔らかく優しい丸みがあり、苦み渋みが少ない繊細なコクと豊かな香味がある。さらに、兵庫県産山田錦を麹に用いることで心地良い酸味が付与され、後味が軽快な酒質になっている。管理機関である「はりま酒研究会」は、様々なイベントの開催を通じて、「はりま」のPRを行っている。令和2年10月22日~12月20日にはインスタグラムで「GIはりま 日本酒マリアージュ」を開催。これは「はりま」の日本酒とそれに合う食べ物を撮影し、「#GIはりま」などを付けてインスタグラムに投稿してもらうイベントだ。また令和2年9月27日には、「GIはりま利き酒ライブ」を開催。オンライン一斉乾杯や、YouTubeでセミナー等のライブ配信を行った。山形県では、冬場に積もった雪が溶けた地下水が酒づくりに適した軟水となる。また、寒さの厳しい山形の冬は、酒造りで大切な「雑菌の繁殖抑制」と「低温長期発酵」に向いている。県内では、山形県工業技術センターと山形県酒造組合が中心となって、人材育成と醸造技術の向上に取り組んでおり、県全体として醸造技術が底上げされている。山形の清酒は、全般的にやわらかく透明感のある酒質が特徴。純米吟醸酒・吟醸酒は、やわらかな口あたりとバナナのほか山形県特産のリンゴ、メロンやラ・フランスを思わせる果実のような香りがポイントになっている。管理機関である「山形県酒造協同組合」は、PRのため、様々なイベントを開催している。令和2年10月24、25日には、日本酒造組合中央会が主催するオンライン日本酒フェア2020に参加。30分間の持ち時間で独自企画のセミナーを行った。3雪解け水が酒造りに適した軟水をもたらす「山形」2兵庫県産山田錦により醸される「はりま」利き酒ライブ等の様子 ファイナンス 2020 Dec.5すべての酒類を対象に国税庁長官が指定お酒の地理的表示(GI)が地域活性化に一役買う特集

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