ファイナンス 2020年12月号 No.661
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い、というのもひとつの選択肢です。ブレーキの制動距離は伸びますし、路面が滑りやすくなりますし、気張って疲れてしまうぐらいなら、乗らないほうがまし。雨具を使って乗る場合は雨合羽系で。傘だと、片手運転は論外として、アタッチメントで自転車に装着しても、風が吹けばハンドルを取られますし、10km/h程度で雨は横殴りとなって何の役にも立ちません。わたくしは着脱が楽なポンチョを使っていますが、脚は濡れます。それが嫌ならツーピースタイプをお選びください。なお、路面が滑りやすくなると書きましたが、マンホールのふたなどの金属は当然として、横断歩道や車線の塗装部分もつるっつるに滑ります。こうした特に滑りやすい路面を走行する際には、(1)事前に減速しておく、(2)急ハンドル・急ブレーキを避ける、(3)ゆっくりペダルを回し続けトルクを切らさない、よう気を付けましょう。《チートその10:空気入れ》本連載では、メンテナンスは次回に扱う予定ですが、前回の記事を読んで自転車通勤を始めたなら、そろそろ空気を入れるタイミングです。タイヤを指でつまんで力を込めたら凹んだら、それはもう空気が不足しています。適正な空気圧を保つ最大の目的は、自転車通勤時のトラブルで最多のパンク防止で、段差等にタイヤが当たった際にチューブがホイールで潰されて起こるパンク(通称リム打ち)は、空気圧の不足が原因です。タイヤの側面には適正な空気圧の範囲が記されていますので、空気圧計つきの空気入れで入れましょう。上限を超えるとタイヤのゴムが伸びて劣化し、下限を下回るとリム打ちのおそれが高まりますので。なお、チューブのバルブですが、ゴムのキャップがついている英式だと空気圧管理が面倒です。もし英式バルブのチューブを使っているなら―シティサイクル、俗にいうママチャリならばほとんどがそうです―、チューブを交換する際、米式(といえば自転車屋には通じます)への切替えをおススメいたします。《チートその11:裾止め》ツール・ド・フランス等で選手が着ているウェアはサイクルジャージといい、機能的にはこれに勝るものはありませんが、出勤後に着替えるのも面倒であり、わたくしを含め、スーツ(季節によりクールビズ)で自転車通勤をしている人がほとんどでしょう。その際の問題は、ボトムスの裾がチェーンに擦れて油で汚れることですが、裾止めを使うだけで対策完了。チェーンは車体の右側についているので、右足だけで足ります。わたくしも愛用していましたが、乗車中に外れてなくしてしまい、それ以降、靴下の中に裾を突っ込んで代わりにしています。人目を気にしないなら、これで十分(笑)。《チートその12:ロック》犯罪認知件数で最多なのは自転車盗難で、その半分近くは自宅で盗まれており、自転車を使う以上は盗難対策、すなわち施錠は、屋内保管をしない限りは必須です。ただし、どれほど高価なロックであっても、時間をかけて切断できないものはなく、究極的にはどこかで割り切るしかありません。割り切る要素は2つあり、1つは値段、もう1つは重量です。値段については、一般的には自転車の10%が目安。重量については、重ければ重いほど丈夫というのが基本。一方、重ければ重いほど持ち運びには苦労するわけで、自分なりのベストバランスを見出しましょう。以上を前提に、気をつけるべき点を挙げれば、まずは複数のロックを使うことです。盗むのに時間がかかる自転車とかからない自転車が並んでいれば、後者が狙われます。警察がツーロックを推奨していますが、これは多くの自転車がワンロックやゼロロックであるがゆえ。次に、自転車乗りの世界では「地球ロック」と言われる、頑丈な構造物にくくりつける形で施錠し、自転車自体をクルマで持っていかれないようにすることです。駐輪場によってはそうした構造物がなかったり、あってもくくりつけるなとされたり(放置自転車撤去のため)しますが、そうでない限りはお忘れなく。最後に、ロックの種類として、U字ロックか多関節(ブレード)ロックを選ぶことです。世の中で売られているロックの多くはワイヤーかチェーンですが、これらはボルトクリッパという専用工具を使えば秒で切断可能。U字や多関節でも時間がかかるだけで切断されないわけではありませんが、そこは既述のツーロックと同じで、周りがワイヤーやチェーンロックなら、狙いはそちらに向うことでしょう。 ファイナンス 2020 Dec.63自転車通勤で「なろう」になろう!?連載自転車通勤で 「なろう」になろう!?

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