ファイナンス 2020年12月号 No.661
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まっておらず、国内外の専門家や機関、政府組織等による協力のもと、その時々の研修ニーズに応じて実施される。後述の財務総研によるセミナーはこの「特別授業」にあたる。図表3 通常授業の主な内容主な授業内容公共財政管理財政管理の基本的なプロセス、官民の財政管理制度の違い、支出管理等予算企画・編成連邦領・州・地域等の予算策定方法、効果的な執行方法等会計・監査会計システム、会計基準、財務報告、内部監査、外部監査等予算管理財務分析、リスク管理、資産運用・管理、官民セクター関係性、公共調達規制等(出所)ミャンマー側の提出資料に基づき筆者作成3ミャンマー計画・財務・工業省支援(1) これまでの支援(第1,2回現地セミナー)の評価2017年に、マウン・マウン・ウィン計画・財務副大臣から、研修機関の設立及び職員の人材育成に関する協力要請があり、財務総研はPFMアカデミーに対する支援を開始した。具体的には、2018年5月と2019年8月に訪緬し、政府職員を対象に、日本の財務省主計局及び会計センターの職員より「予算制度・会計法」「中期的な予算管理・評価プロセス」「官庁会計システム」等の講義を提供した。なお、2018年の第1回セミナーにはMOPFI職員を中心とした各省庁から計50名の職員が、2019年の第2回セミナーには計80名の職員が参加している。図表4 現地セミナーの様子(2019年)これまでの2回のセミナーでは、参加者に対して満足度に関するアンケート調査を実施している。2つの*3) 第2回参加者の約74%は、予算・会計業務を経験している。また、参加者の平均業務経験年数は約15年となっており、一定の経験値を持った職員をセミナーの対象としている。アンケート結果を見ると「やや不満足」「不満足」の回答はなく、全体の満足度は高かったと言える(図表5-1)。第1回セミナー終了後には、参加者に対して講義内容の更なる改善を行うためのニーズ調査を実施し、その結果を踏まえて第2回セミナーでは日本の予算管理プロセスの説明を充実させる等の対応を行った事から、満足度の上昇が見られた。図表5-1 第1,2回アンケート結果(セミナー全体の満足度)23.8%8.8%75.0%70.6%1.3%20.6%第二回第一回大変満足大体満足普通やや不満足不満足また、第2回セミナーでは、講義毎の理解度についても調査を行っている。結果を見ると「あまり理解できなかった」「全く理解できなかった」の回答はなく、理解度も高かったと言える。一方で、理解度の最上位評価である「大変よく理解できた」を選択した割合を見ると、参加者の属性*3(参加省庁・職務年数・職務経験)によって若干のバラつきがあることがわかった。職務年数別に見ると、(図表5-2)の通り、職務年数11年超の方がその割合が高い傾向にあった。参加省庁別に見ると、MOPFI以外の職員の方がその割合が高く、セミナーの3つの講義のうち、「予算評価プロセス・中期的な予算管理」の講義が特にその割合が高かった。これはMOPFIからの参加職員に職務経験年数の少ない若手が多数含まれていたことが要因と考えられる。職務経験別に見ると、(図表5-3)の通り、会計業務経験がある職員はその他の職員に比べ、どの講義に対しても理解度が高い傾向がある。これは会計業務経験者が全体的に経験年数の長いベテラン層であったことが理由と考えられる。また、予算業務経験のある職員は「官庁会計システム」の講義に対して、特にその割合が高い傾向が見られた。 ファイナンス 2020 Dec.39財務総合政策研究所によるミャンマー計画・財務・工業省支援SPOT

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