ファイナンス 2020年12月号 No.661
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定理事会(FSB)、金融活動作業部会(FATF)、IMFの報告を歓迎し、更なる取組への期待を表明した。3国際通貨金融委員会(IMFC) (2020年10月15日)国際通貨金融委員会(注)においては、世界経済の動向、新型コロナウイルスへのIMFの対応等について議論が行われた。特に世界経済については、コミュニケにおいて、回復にばらつきがあり、大きな不確実性が伴うという現状認識とともに、今回の危機が、生産性の伸びの鈍化、債務負担の増大、貧困や不平等の拡大など、世界経済に「長きにわたる傷跡」を残すおそれがあるとの懸念が示された。(注) 国際通貨・金融システムに関する問題についてIMFに助言および報告することを目的として1999年に設立。以降、春・秋の年2回開催。今回は第42回目。麻生大臣からは、新型コロナウイルスに対するIMFの対応が極めて重要な役割を果たしてきたことを高く評価しつつ、今後も支援ツールを積極的に見直していくこと、十分な資金動員を行っていくことの必要性等について述べた。資金動員については、麻生大臣から、必要に応じて機動的に新規借入取極(NAB)を発動させることを支持するとともに、こうした貸付資金をIMFの資金基盤においてより積極的に位置づけ、IMFのガバナンスの在り方にも組み込まれるべきと指摘した。また、日本はこれまでもIMFによる途上国の能力開発支援に積極的に貢献してきているところ、麻生大臣から、途上国が債務状況の悪化に見舞われていることを踏まえ、債務管理を中心に途上国の能力強化を支援するため、IMFに新たな拠出を行うことを表明した。4世界銀行・IMF合同開発委員会(DC)今回のDC(注)においては、新型コロナウイルスによる危機を受けて国際社会が直面している開発上の課題等について議論が行われた。(注) 開発をめぐる諸問題について世界銀行・IMFに勧告及び報告を行うことを目的として1974年に設立。以降、春・秋の年2回開催。今回は第102回目。麻生大臣から、新型コロナウイルスの感染が全世界に拡大する中で、世銀グループによる緊急支援が迅速に行われていることを評価した上で、日本がかねてから重視してきた、国際保健、債務の透明性と持続可能性、質の高いインフラ投資、防災といった課題への取組みを加速することが、途上国が新型コロナウイルスの危機から立ち直り、持続可能な成長を遂げる上で、より一層重要になっていることを強調した。このうち、国際保健については、国際金融公社(IFC)による途上国の保健・医療物資の製造・供給に係る民間投資への支援を後押しするための新たな拠出を行うことを表明するとともに、日本が世銀グループと連携して立ち上げた「保健危機への備えと対応に係るマルチドナー資金(HEPRTF)」等を活用し、途上国における感染症の備え・対応のための能力強化やUHCの推進等を支援していくことを表明した。また、債務に関しては、麻生大臣から、DSSI及び「共通枠組」について、全ての公的な二国間債権者による完全な実施と、民間債権者による、少なくとも途上国にとって同程度に有利な条件での参加が必要だと述べた。さらに、世銀グループ及びIMFには、債務透明性の強化と債務データの正確性を確保する取組みの継続を期待するとともに、全ての公的な二国間債権者が世銀グループ及びIMFの債務データ突合に協力することを求めた。公表されたDCコミュニケにおいても、全ての公的な二国間債権者が、完全に、かつ、透明性高く、DSSIを実施するべきとした上で、世銀グループ及びIMFに対し、債務データの質と整合性を強化し、債務の開示を改善するための作業の継続を求めることとされた。最後に、特に脆弱な低所得国を支援する国際開発協会(IDA)について、麻生大臣から、今後、資金が不足することが見込まれるため、必要な資金の確保に向け、早急に議論を開始し、国際社会が一体となって取り組むことの重要性を強調した。DCコミュニケにおいても、世銀グループが求められる役割を果たすために十分な資本を維持していることを確保するため、2021財政年度より先の世銀グループの資金規模に関する議論を慫慂することとされた。 ファイナンス 2020 Dec.17IMF・世界銀行グループ年次総会およびG20財務大臣・中央銀行総裁会議等の概要 SPOT

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