ファイナンス 2020年12月号 No.661
20/98

いることを確認した。次に、G20各国が協調してパンデミックに対応する上でのコミットメントを示すG20行動計画については、4月の承認以降の新たな動向を踏まえ、更新を行った。同更新には、9月17日のG20財務大臣・保健大臣合同会議の共同声明を踏まえ、特許プールを含めた、新型コロナウイルスに係るワクチン・薬の開発・製造・普及のための包括的取組や、2019年に日本議長下のG20で取りまとめた「途上国におけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)ファイナンスの重要性に関するG20共通理解」へのコミットメントの再確認など、これまで日本が主導してきた取組が反映された。途上国の債務問題については、本年4月、G20及びパリクラブにおいて、最貧国の有する公的債務の支払を2020年末まで猶予することに合意した(債務支払猶予イニシアティブ(DSSI))。今回のG20では、DSSIの延長とともに、今後、ケースバイケースでDSSIを超える債務措置が必要となり得ることを踏まえ、その基本方針について議論が行われた。議論の結果、DSSIについては6カ月の延長が合意され、「DSSI後の債務措置に係る共通枠組」についても原則的に合意された。なお、この「共通枠組」は、11月13日に開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁特別会合において最終合意され、公表されている。国際租税については、日本議長下の福岡G20において、経済のデジタル化に伴う課税上の課題への対応についての「作業計画」が承認されている。同計画では、2つの柱(注)からなる解決策について検討し、2020年末までに最終報告書を取りまとめることとされており、約140の国・地域からなる「税源浸食・利益移転(BEPS)に関する包摂的枠組み」において検討が進められて来た。今回のG20では、解決策の合意に向けた強固な土台となる「青写真」が提出され、これを歓迎するとともに、2021年半ばという新たな合意期限を設定した。(注)第1の柱: 物理的拠点の有無にかかわらず、市場国に新たな課税権を配分するための国際課税原則の見直し。第2の柱: 軽課税国への利益移転に対し、最低税率による法人課税(ミニマム課税)を確保するルールの導入。最後に、金融セクターについては、クロスボーダー決済の改善に向けたG20ロードマップを承認するとともに、所謂GSCsやデジタル通貨等に関する金融安16 ファイナンス 2020 Dec.SPOT

元のページ  ../index.html#20

このブックを見る