ファイナンス 2020年11月号 No.660
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ス感染症対策予備費は、必要な都度、閣議によって使い道を決める資金で、その後の閣議決定により、学生支援給付金、医療機関へのマスク等の配布、個人向け緊急小口資金等の特例措置などに利用された。国庫内で資金を融通し特会に活用されていた様子がわかるのが、図表4だ。政府短期証券(FB)を発行している会計は幾つかあるが、FBは市中公募発行により資金を調達している。FBの所要額は、110兆円から120兆円の間でほぼ一定に推移しており(その大宗は外国為替資金証券)、公募発行額の圧縮を図るため、国庫内で資金の融通を行っている。令和2年2月ごろまでは国庫内の資金の融通を行っていた部分が40兆円程度に上っていたが、その後は急速に減少しているのがわかる。この部分が補正予算のために特会のFBが増額され、返済された部分だ。それでも不足が見込まれた分は、財務省証券の発行で賄った。なお、現在FBは、TB(割引短期国債)と併せて、T-Bill(国庫短期証券)として発行されている。1週間当たりのT-Billの発行ロットの推移を見ると(図表5)、コロナ以前は4.3~4.4兆円程度で比較的安定していたが、6月には、約9.1兆円まで急上昇しているのがわかる。これらの資金繰りによって、補正予算で支出する資金を国債の発行が増額される7月まで手当てしたことになる。その結果、3月末のFBの残高は74.4兆円だったものが、6月末時点では117.3兆円まで増加している。図表4政府短期証券の引受先別残高の推移02040608010012014031年4月令和元年6月元年8月元年10月元年12月2年2月2年4月2年6月(兆円)公募発行分国庫内で資金を融通要調達額公募発行額の圧縮 ファイナンス 2020 Nov.5新型コロナに対応した資金調達と債務管理短期の資金繰りからアフターコロナを見据えた国庫・債務管理まで特集

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