ファイナンス 2020年11月号 No.660
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ては迷惑極まりないので、ダメ、絶対。《チートその2:ブレーキング》「その1」のようにスピードを上げたときに忘れてはならないのは、その分だけ止まるのが難しくなっているということ。止まるのに必要な力や事故を起こしたときの衝撃はスピードの2乗に比例するので、事故を回避しつつ、不幸にも事故に至った場合でも可能な限り減速してダメージを抑えるには、きちんと止まるためのブレーキングスキルが必要です。改めて基本を確認すると、右が前輪、左が後輪のブレーキで、効くのは右の前輪ブレーキです。20km/h程度でそれぞれをフルブレーキすれば、右ブレーキだと後輪が持ち上がって多くの場合転倒しますが、そこで止まります。左ブレーキだと後輪がロックし、止まらない上に車体のコントロールが極めて難しくなります。したがって、右手で主に制動力を発揮させつつ、左手でもブレーキを効かて転倒をできるだけ防ぐのが、ブレーキの正しいかけ方。とっさには難しいですが、重心をできるだけ後ろに持っていく(お尻をサドルの後方に突き出せばベスト)と転倒しづらくなりますので、スピードを上げたい方は練習を。なお、急ブレーキが必要になりがちなのは、客を目当てに流しのタクシーが突っ込んでくるシチュエーション。タクシーを拾おうと手を挙げている歩行者を見かけたら、右後方からのタクシーに注意しましょう。《チートその3:リアライト(テールライト)》「その1」のとおり自転車は車道を走るべきなのですが、歩道を走る自転車を見ない日はまずありません。車道は怖いから、とはよく聞きますが、逆走も同様で、左側通行だと後方からクルマに抜かれる一方、右側なら来るのが見えるので怖くない、と。車道を走る場合、自分がクルマ等を避けるのではなく、避けてもらうのが基本ですが、気づかれなければ避けてもらえません。帰りに夜間通行になる自転車通勤では、クルマ等から気づいてもらうために、ライトほど役立つものはありません。フロントライトは道交法で装着が義務付けられており、自転車を買うときにはセットになっていますが、リアライトは反射板で代えられるので、大抵はオプション扱いです。自転車をこれから買うならセットで、既にある自転車になければ買い足して、リアライトをつけるようにしましょう。白光のフロントと赤光のリアを間違えないようご留意ください。《チートその4:ヘルメット》自転車に乗っていれば、事故の可能性からは免れません。いくら万全を期していても、人間である以上ミスはゼロにはなりませんし、運が悪ければ、自分には何の落ち度がなくても、ぶつけられてしまいます。街を行く自転車乗りの多くはヘルメットをつけておらず、そのほとんどは事故に会わないので結果論としてはヘルメットはいらないのでしょうけれど、万が一の際に備えて、ヘルメットは必ず被りましょう。《チートその5:サドル高さ調整》「その1」で通勤圏を片道15km圏内としましたが、もっと近くてもしんどいのに15kmなんて無理、という人もいらっしゃるでしょう。でもご安心を。試しに、一度サドルを上げてみてください。というのも、街で見かける自転車乗りの過半は、サドルが低く、脚力をかなり無駄にしているからです。ペダルを押す力が推進力になるのは、時計で言えば1時から3時までの60度ほどにペダルがあるときだけ。また、曲げた膝を伸ばす力が最大になるのは、膝の角度をまっすぐ伸ばして0度、正座のように曲げて180度で表したときの45~90度の位置になり、両者を合わせ、1時で膝が直角になるのが理想です。他方、これでは高すぎる可能性もあります。ペダルが一番下、6時の位置にあるときに膝が0度になっていると膝を傷めるおそれがあり、そうなっているなら下げましょう。ペダルを押す位置は親指付け根のいわゆる拇指球ですが、あえてかかとをペダルにつけて0度に伸ばすと、拇指球で押す際には若干膝が曲がってちょうどいいと言われるので、目安にしてください。このサドル位置だと、座ったままでは足が地面に着かないでしょう。停止するときは、サドルの前方に腰を外して左足を着地させることになります(左側通行ならクルマは車体の右側を通るので、身体は反対の左側に置きましょう)。足が着かないと最初はちょっと怖いかもしれませんが、すぐに慣れますよ! ファイナンス 2020 Nov.61自転車通勤で「なろう」になろう!?連載自転車通勤で 「なろう」になろう!?

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