ファイナンス 2020年11月号 No.660
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ミュニティと、そのコミュニティの熱い思いに基づくアクションが活性化に繋がっている(一例を挙げると、同じ岐阜県の郡上市は、市役所だけでなく、複数のNPO法人等の市民コミュニティが町おこしを頑張っており、中でもHUB GUJOはイケてるサテライトオフィスを運営し、様々なイケてる人を引き寄せている)。海津市民の方々は、行政への期待感がとても高い。その裏返しかもしれないが、自分たちで何とかしようという思いは少なく、市の活性化についても市役所が何とかしろというスタンスの人がとても多い。だが、市役所の職員も日々の業務に忙しく、なかなか新しいことを考える時間が少ない。市民の方々が思うほど、役所には余裕がないのだ。今後の海津市の発展は、海津市民の意識改革にかかっているのではないかという思いを日々強くしている。4 さいごに(財務省再生プロジェクトと絡んで、地方から財務省への提言)かなり長くなってしまったので、もしここまで読んでくれた人がいるなら大変ありがたい。最後に、財務省再生プロジェクトの観点から、1点提案をしたい。上述のように、当方は市役所という基礎自治体に赴任し、国で働いていた時よりも自分の裁量でできることが多く、大変充実している。国で働くと、社会的に影響の大きな仕事に携わることができるが、手触り感のある仕事はなかなか難しいと思う。それは構造的に仕方がない。一方、市町村の業務は、規模こそ小さくても手触り感に溢れている。国の業務に疲れた職員が、地方で英気を養うこともできるし良いこと尽くめである。個人的には、シティマネージャー制度だけでなく、財務省も若手補佐や係長の通常の人事ローテとして、基礎自治体である市町村の財政部長もしくは企画部長として赴任するルートを増やしてはどうかと思う。特に財政部長のポストは、地方自治体の予算編成を体験できるのでなかなか得難い経験だと思う。地方交付税は大変に複雑な制度であるが、その制度にも詳しくなれる。もちろん、いいことばかりではなく、辛い面もあるがそれも含めていい経験だと思う。(秘書課の偉い方々どうでしょうか)(参考資料)豊明市HP(URL:https://www.city.toyoake.lg.jp/)特定非営利法人HUBGUJO (URL:https://hubgujo.com)保田隆明、久保雄一郎「ふるさと納税における返礼品提供事業者の属性分析」(2019, Venture review no.33, 日本ベンチャー学会)大庫直樹「ILO産業分析の枠組み 人口問題を経済問題に」(2020/5/28,地方行政,時事通信社) ファイナンス 2020 Nov.35地方創生の現場から【第9回】

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