ファイナンス 2020年11月号 No.660
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直してみると、沖縄市はほぼ県平均、うるま市もやや低いが特に目立たなくなる。就業者でない人びとの存在が大きいようだ。この地域の市民所得の底上げが重要だ。また、那覇市を含む中南部に人口が集中(面積:636km2 人口:121万人)しており、都市部の人口密度が高いことがあげられる。少し古い数字で恐縮だが、以下のようになる。人口密度(単位:人/km2)54位那覇市7,960.73(62位立川市7,397.95)82位浦添市5,875.00101位宜野湾市4,909.44(110位福岡市4,599.58)(注)人口は2018年10月1日の推計人口。面積は2017年10月1日の国土交通省国土地理院「全国都道府県市区町村別面積調」。このような状況を考えれば、那覇都市圏について、近隣の九州における福岡都市圏の取り組み*25などを取り入れ、都市圏単位で行政の連携の在り方などをより踏み込んで構想・実施してみることは極めて有意義*25) 参照:福岡地域連携推進協議会(FDC) http://www.fukuoka-dc.jpn.com/ 拙稿:月刊コロンブス2020年10月号「読書の時間」:「超成長都市「福岡」の秘密 世界が注目するイノベーションの仕組み」(石丸修平著 日本経済新聞出版 2020年2月)ではないだろうか。○沖縄県の財政~沖縄振興策への考察(まずは、事実をきちんと認識することからはじめる必要)沖縄県の1人当たりの国庫支出金(2017年度)は、東日本大震災関連の岩手県、宮城県、福島県、平成28年(2016年)熊本地震関連の熊本県を除けば、全国1位の26万3283円である。マクロの地方財政計画で決定された総額が衡平に分配される1人当たりの地方交付税交付金(2017年度)は、24万2924円で、全国で17位。沖縄によくある言説で、国庫補助金の高率補助のせいで、人間としての生きる権利を保障するための自立と自律の基盤である地方交付税交付金が減らされているという「交付税交付金(善)、国庫補助金(悪)」や、国庫支出金と地方交付税交付金を合算すれば、沖縄は国からそれほど財政移転されていないというものがある。やや技術的になるが、たしかに、地方交付税の算定項目になっている「道路橋りょう費」の算定にあ図表111北大東村2与那国町3南大東村4渡名喜村5渡嘉敷村6嘉手納町7恩納村8北谷町9座間味村10那覇市11伊是名村12東  村13浦添市14竹富町15中城村16粟国村17宜野座村18北中城村19石垣市20伊江村21金城町22久米島町沖縄県23西原町24伊平屋村25南風原村26豊見城市27国頭村28与那原町29糸満市30宜野湾市31多良間村32宮古島市33名護市34読谷村35南城市36八重瀬町37本部町38沖縄市39大宜味村40うるま市41今帰仁村4,8354,1134,1043,7443,2503,1162,9182,7882,6892,6522,5722,5592,5442,5392,5382,5332,5112,5112,5092,4452,3932,3602,3492,3432,3302,3272,3072,3042,2972,2962,2912,2732,1922,1892,1652,1552,1132,0821,9571,9271,8771,71705001,0001,5002,0002.5003,0003,5004,0004,5005,000※1人当たり市町村民所得=市町村民所得/市町村人口平成29年度1人当たり市町村民所得(千円)(令和2年9月18日沖縄県公表資料)20 ファイナンス 2020 Nov.SPOT

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