ファイナンス 2020年11月号 No.660
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国債の市中金利は、補正後国債発行計画の公表後、7月初めにかけて超長期ゾーンを中心にやや上昇したものの、市場参加者との対話を重ねた上で発行していることもあり、今のところ大幅な金利上昇は避けられており、足下では安定的に推移している(図表8)。担当課のスプリット体制で 業務の継続性を確保コロナ禍にあっても、国債の発行は一度たりとも失敗が許されない。もともと発行にかかわる業務には人手がかかる。たとえば、入札に当たって情報の公表プロセスは数多くあるし、公表までの短時間で数字のダブルチェック等もしなければならない。あるいは、市場参加者からのヒアリングを常に欠かさず、市場ニーズに変化があればすぐに対応しなければならない。その中で感染者が発生すれば、発行業務が滞ってしまう可能性がある。そこで、国債企画課と国債業務課では、スプリット体制(フロアの分散等)を実施している。これは、職員を5つの部屋に分散して密の状態を回避することで業務の継続性を確保するものだ。債務管理政策における今後の課題は、追加発行した国債の借り換えだ。今回は、全体としては6カ月の短期国債を中心に追加発行しているため、令和3年度には償還期限が到来することになる。その際に、借換えが必要になるため、改めて市場ニーズを考慮しながら、年限を決めていくことが必要になる。以上のように、コロナ禍の中においても着実に資金調達をおこなうために、国庫課、国債企画課、国債業務課、財政投融資総括課の4課は日々綿密な議論、調整を行ってきたが、中長期視点に立って国の全般的な資金調達を効率的、効果的に行っていくためには、4課での調整は一層重要になっており、しっかりと議論していく予定だ。図表8国債の年限ごとの金利の推移(2020年1月以降)▲0.4▲0.20.00.20.40.60.8(%)2020年4月20日一次補正後計画公表2020年5月27日二次補正後計画公表40年債30年債20年債10年債5年債2年債2020/102020/92020/82020/72020/62020/52020/42020/32020/22020/1 ファイナンス 2020 Nov.9新型コロナに対応した資金調達と債務管理短期の資金繰りからアフターコロナを見据えた国庫・債務管理まで特集

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