ファイナンス 2020年10月号 No.659
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大分(2)くにさきOYSTER国東市長のお勧め品が「くにさきOYSTER」です。独自の養殖方法で育てられたくにさきOYSTERは、ひと口サイズの中でもひときわ甘味やうま味が強い牡蠣です。それでいて食べた後のスッキリ感が最大の特徴です。シーズンにより2種類あり、一般的に冬に食されているマガキは、出荷される12月から4月にかけて味わいが変化するので、生食ならではの味の変化を楽しむことができます。また、7月から8月にかけて出荷されるシカメガキは、一般的な牡蠣のイメージからすると小粒のため、日本国内ではほとんど生産されていませんが、国東市では養殖にチャレンジしているそうです。夏でも冬でも楽しめるくにさきOYSTER、日本酒や白ワインと一緒にご賞味ください。5郷土料理大分県民のソウルフードといえば「とり天」「中津・宇佐唐揚げ」「別府冷麺」「だんご汁」などが全国的に知られていますが、今回は私のお気に入りの料理をご紹介します。(1)りゅうきゅう私の一番のお勧めが「りゅうきゅう」です。大分の海でとれた新鮮な魚をおろして、しょうゆやみりん、酒などで作った調味液にねぎやしょうが、ごまなどの薬味と一緒に浸け込み、しばし馴染ませれば完成します。そのままお酒のつまみにすることもありますが、お勧めはアツアツの白ご飯に乗せて「りゅうきゅう丼」にすることです。残り少なくなったところで、お湯やお茶を加えてお茶漬けにするのが人気の食べ方です。私の自宅の冷蔵庫にはこの調味液の瓶詰めがあり、スーパーでお刺身を買って調味液に浸け込むだけで手軽にりゅうきゅう丼を食べることができます。同じような丼ぶりに「ひゅうが丼」があります。日本有数のまぐろの遠洋漁業基地・保戸島がある津久見市では、新鮮で豪快なまぐろ料理を堪能することができます。りゅうきゅう丼との違いは、りゅうきゅう丼がアジ、サバ、カンパチ、ブリなど使用する魚種が決まっていないのに対し、ひゅうが丼がまぐろの赤身のみを使っていることや卵黄を入れているところです。しかし、「まぐろのりゅうきゅう丼」で提供するお店もあり、紛らわしいところです。更に両者には、名前の由来が明確でないという共通点があります。りゅうきゅうについては、調理法が琉球の漁師から伝えられたからという説や、千利休に因んでゴマを使った料理を「利休和え」「利休焼き」等と呼ぶことに由来するという説などがあります。一方、ひゅうが丼については、その響きから、宮崎県の日向国や日向灘が連想されますが、漁師が船上で食べた料理で、風の音が「ひゅーひゅー」と聞こえることから名付けられたという説もあります。いずれにしても起源がはっきりしていなくても、味については間違いなく美味しいです。大分グルメの大会で金賞のひゅうが丼(筆者撮影)76 ファイナンス 2020 Oct.連載各地の話題

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