ファイナンス 2020年10月号 No.659
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期限内に納税されない場合の 手続はどうなっているか国税には、それぞれ納付期限が定められており、期限内に納付が行われない場合には、納税者に督促状が送付され、この時点で、「滞納」が確定する。督促状が送付された後は、国税局の納税コールセンターから納税者に電話で納税を促すが、それでも納付されない場合には、滞納事案として、所轄の税務署に移管されることになる。移管を受けた税務署では、納税者に実情の聞き取りを行いながら、納税が困難であれば「納税の猶予」「換価の猶予」などを適用し、分割での納税を相談することになる。それでも、財産がないなどの理由で納税が困難と判断されるときには、「滞納処分の停止」の手続をとっている。一方で、納税者が話し合いに応じないなど、やむを得ない場合には、財産調査を行い、差押予告、財産差押をして、公売等で強制的な売却を行い、国税に充当する。手続の間でも納税者が相談に応じた場合は、納税緩和制度の適用などを行う。今回の特例猶予は、国税の納期限までに申請が行われ、収入が前年と比較して概ね2割以上減少したなど、一定の要件を満たした場合には、1年間の納税の猶予を行うもの。猶予期間が過ぎても納付されない場合は、前述のような督促の手続が行われることになる。納税の猶予制度は以前からあった制度で、一定の条件を満たすと、最大1年間、納税が猶予される。しかし、猶予期間中には延滞税がかかる場合もあり、納税者の負担になっていた。(注)納税の猶予を受けた期間の延滞税は、年8.9%から年1.6%に軽減される(延滞税の税率は令和2年中のもの。)。今回の特例猶予制度は、収入が概ね2割以上減少している場合には、延滞税なし、無担保で1年間の猶予が利用できるようになっている。特例猶予制度の概要収入が概ね2割以上減少している場合は、延滞税なし、無担保で1年間納税を猶予国税徴収手続の一般的な流れ納期限督促(滞納発生)納付しょうよう(納税コールセンター)●納税の猶予●通則法§46①、②、③●新型コロナ税特法(特例猶予制度)完結財産調査差押予告財産差押公売等納税緩和制度●納税の猶予(通則法§46②)●換価の猶予●滞納処分の停止●納期限以降、延滞税免除又は軽減●差押え不可※未納ではあるが、滞納に計上されない ファイナンス 2020 Oct.3新型コロナウイルス感染症への国税徴収の対応~特例猶予の適用状況と租税滞納状況について~特集

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