ファイナンス 2020年10月号 No.659
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ブリ作品が3本、新海誠監督の作品が2本。この時期、2作品で全体1位となった気鋭のアニメーション映画監督、新海誠は、2002年に「全編25分をパソコンで、ほぼひとりで作り上げた『ほしのこえ』」でデビュー。「君の名は。」、「天気の子」とも原作・脚本も担当。「今や、世界的に注目されるアニメーション監督」、「叙情的な男女の物語を、美しい色彩と繊細な言葉で紡ぎ出す“新海ワールド”は、国内外問わず多くの人々に支持され、生み出された作品は高く評価されてきた。」という。邦画のトップ3で見ると、アニメのランキング入りは、30映画中17本と半分を超え、うち、名探偵コナン4つ、ドラえもん4つ、ジブリが3つ、新海誠監督2つ、ポケットモンスターが1つ。5カンヌ、ヴェネチア、ベルリン国際映画祭、アカデミー賞での日本映画(1)カンヌ国際映画祭フランス南部の地中海沿岸のコートダジュールに面した高級リゾート地カンヌで開催される国際映画祭。その歴史は1946年に始まる。ベルリン国際映画祭、ヴェネチア国際映画祭と並び世界3大映画祭の1つで、世界中の映画人が一堂に会する映画祭として常に高い注目。上映プログラムはカンヌ国際映画祭主催のオフィシャルセレクション、フランス監督協会主催の監督週間、フランス映画批評家組合主催の批評家週間の3つで構成され、約180作品が上映。映画祭と並行して世界最大の映画マーケット“マルシェデュフィルム”が開催され、各国の配給会社やプロデューサー、監督などが参加。配給権の売買や資金調達、企画のプレゼンなどが行われる。その他にも、レッドカーペットやマスタークラス、フォーラムなど様々なイベント。現下の状況のため、今年は単独開催を見送り。日本関係の受賞も多く、最高賞のパルム・ドールだけでも、1953年、衣笠貞之助監督の「地獄門」(長谷川一夫、京マチ子主演、反乱から上皇とその妹を逃すための身代わりの女を荷車に乗せたところ、護衛が女に惚れてしまうというストーリー。)、1980年の黒澤明監督の「影武者」(その年の国内での邦画配給収入1位)、今村昌平監督は1983年の「楢山節考」(緒形拳主演、山深い寒村を舞台に姥捨てを目前にした人間の生き方を描く。)と1997年の「うなぎ」(役所広司、清水美沙主演。極度の人間不信に陥り、本音を明かす唯一のパートナーとして“うなぎ”を選んだ男の話。)で2回も受賞。最近では、2018年の是枝裕和監督の「万引き家族』(万引きで生計を立てる家族の物語。)のパルム・ドール受賞は記憶に新しい。あいにくまだカンヌに呼ばれたことがないので、カンヌでの受賞がどのようなものかについては、1999年に中年男と母親を探す小学生が繰り広げる一夏の冒険を描いたロードムービー、『菊次郎の夏』でカンヌのコンペに参加した北野武監督は、「『菊次郎の夏』はねえ。カンヌ行って、公開あって、新聞も出て、ワーッてなって。…で、誰もがおまえだおまえだって言うからさあ。「コングエラチレイション」とか、『おめでとう』とか言うのよ。インタヴューもそうだし、記者がまず、「おめでとうございます。すごくよかった。」って言う。だからもう、完全に、何かくれるなと思うじゃない。何もくんねえの(笑)。」「あんまり反応がすごいんで、なんかくれんだと思っちゃったもん。それで何もなかったんで、それ以来、おいら、授賞式までいないんだ(笑)。上映やったら帰っちゃうんだ。」と語る。なお、カンヌといえば、スターがレッドカーペットを着飾って歩くのが知られているが、オードリーヘップバーン、グレースケリーらと共にVogue誌の「カンヌ国際映画祭を彩った歴代カップルたち」に掲載されている日本人はジョンレノンと一緒のオノ・ヨーコだけである。(南仏コートダジュールに面した高級リゾート地カンヌ) ファイナンス 2020 Oct.41サヨナラ、サヨナラ、サヨナラSPOT

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