ファイナンス 2020年10月号 No.659
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編集したい』。僕らの答えは簡単だった。ノー。彼の表情が変わった。「おれの提案を断った奴は、世界に誰もいない。」、「そのだれもいないひとりになったおかげで、その後、彼はぼくらに敬意を払ってくれる。」。その「彼」とは、Me Tooで問題となったハーベイ・ワインシュタイン。(2)中国アメリカに迫る第二のマーケット。市場全体の成長は減速し、興行総収入は前年比5.4%増の642億6,600万元(約1兆261億円)、伸び率は前年を3.7ポイント下回ったという。興行収入でみると、トップ3は1位が国産のアニメ「ナタ~魔童降臨」(魔王となる宿命で生まれた「ナタ」が、苦難を経験しながら戦う物語)780.6億円、2位が国産のSF映画「流転の地球」(太陽の異変で太陽系が消滅する事態に備え、地球ごと太陽系から脱出する壮大な計画を始動するストーリー。)730.3億円、3位にディズニーの「アベンジャーズ/エンドゲーム」662.9億円となり、「国産アニメとSF」元年となったと言われる。確か、外国映画の商業放映には年間60本とかの限られた枠の争いになるといい、外国映画はこの他、10位にワイルドスピード/スーパーコンボ(アメリカのカーアクション映画シリーズのスピンオフ)223.8億円が入るのみ。日本関係の映画は、トップ25位までで17位の「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」146.2億円、原作が日本の漫画「銃夢」のジェームズ・キャメロン監督「アリータ:バトル・エンジェル」139.9億円が18位にランクイン。(3)イギリス黒澤明監督は好きな映画100本の中で数少ないイギリス映画の中に1949年のオーソン・ウェルズ出演の「第三の男」(1949年カンヌ国際映画祭でグランプリ(当時の最高賞)受賞)、1962年のデビット・リーン監督、ピーター・オトゥール主演の「アラビアのロレンス」(1963年アカデミー賞)を挙げる。そのイギリスでは、2019年は、「ディズニー作品が圧勝の年に」なったという。興行収入1位のアベンジャーズ/エンドゲーム 124.8億円、2位ライオンキング 108.9億円、3位トイ・ストーリー4 89.9億円まではアメリカと同じ顔ぶれでいずれもディズニー。4位スターウォーズ/スカイウォーカーの夜明け 81.8億円、6位アナと雪の女王2 77.9億円、7位キャプテン・マーベル74.3億円、9位アラジン51.6億円とアメリカでもトップ10入りのディズニー作品が入る。ワーナーが5位にジョーカー 78.9億円、ソニーが8位のスパイダーマン:ファー・フロム・ホーム52.1億円、10位のジュマンジ/ネクスト・レベル(テレビゲームの世界に吸い込まれた高校生たちの冒険アドベンチャーの続編)48.9億円が続き、トップ10はいずれもハリウッド映画。とはいえ、イギリスの場合、ハリウッド映画の製作にも関わり、例えば、「スターウォーズ」はシリーズ全作がロンドン郊外のスタジオで製作。2019年の最大の話題は、日本でも放送されていた、大邸宅に暮らす貴族・クローリー家と使用人たちの生活を描き、ゴールデングローブ賞やエミー賞に輝いたイギリスの人気ドラマ「ダウントン・アビー」の映画版の大ヒット(11位37.4億円)だという。(2019年イギリスでのトップ10 キネマ旬報2020年3月下旬特別号より作成)1位アベンジャーズ/エンドゲーム124.8億円ディズニー2位ライオンキング108.9億円ディズニー3位トイ・ストーリー489.9億円ディズニー4位スターウォーズ/ スカイウォーカーの夜明け81.8億円ディズニー5位ジョーカー78.9億円ワーナー6位アナと雪の女王277.9億円ディズニー7位キャプテン・マーベル74.3億円ディズニー8位スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム52.1億円ソニー9位アラジン51.6億円ディズニー10位ジュマンジ/ネクスト・レベル48.9億円ソニー日本関係の映画は、25位にワーナーの名探偵ピカチュウが19.0億円でランク入り。「世界的ネットフリックスの攻勢は英国でも顕著だった。」という。(4)フランス映画発祥の国、カンヌ国際映画祭の国、フランス。黒澤明監督は好きな映画100本の中にフランス映画を多く挙げるが、日本でもよく知られているのは、1960年、当時21歳のアラン・ドロンが一気にスターダムを駆け上がった、ルネ・クレマン監督のサスペンス「太陽がいっぱい」か。また、1963年のジャック・ドゥミ監督、カンヌ国際映画祭パルム・ドール受32 ファイナンス 2020 Oct.SPOT

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