ファイナンス 2020年10月号 No.659
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するものと予測している*9。その他の識者の意見として紹介したのが、下記のようなものである。曰く、「観光客の戻りは1年から3年、緩和と自粛を繰り返しながら徐々に回復。ただし、抜本的な状況の改善には、治療薬とワクチンの開発が必要。また、経済回復時の新たなニーズ(安全等)への対応と担い手が存在していることが不可欠」、「国内には巨大な観光市場が存在していることを認識*9) 「2020年の入域観光客数の減少が県経済に及ぼす影響 ― OCVBの2020年の入域観光客数の見通しをもとに試算 ― 」https://niac.or.jp/topix1.htm#20200806*10) コロナ後は、ヒトのいない生産、ヒトのいないサプライチェーンの構築に莫大な投資がされるのではないか。生産拠点・流通拠点のポートフォリオは、よりグローバルに多様化・複雑化される。ロボット産業とAI開発が加速すると考えられ、沖縄の産業振興もその流れに乗る必要がある、との説得力ある意見をいただいた。これまでの振興計画の柱を踏まえつつ、現状に鑑み、消去法だが、コロナ後の沖縄は、残りの柱である情報産業が、もしOISTや高専とうまくリンクして、上述のロボット、AIに入っていくことができれば、有望ではないかというのだ。言わば“レジリエンス産業振興地域”としての沖縄、である。*11) 内閣府「沖縄でテレワーク」 https://www8.cao.go.jp/okinawa/4/telework/telework.html(注) 本稿入稿後、9月24日に、OCVBは、2020年の入域観光客数が前年比64.1%(651万8千人)減の364万6千人になる推計を発表した。すべき。インバウンドが戻る間、国内観光需要を取り込む方法を検討すべき」である。また、これを機に、過度な観光産業依存を是正すべきとの指摘もある*10。なお、私見としては、コロナウィルス感染拡大後、大きな流れとなっている「ワーケーション」は、沖縄振興にとって大きな追い風と思われる*11。積極的な取り組みを期待したい。*12(11月号に続く)図表8▲61.98338318108861,0428028497957487547728848518358689641,02180985179975572859139677441442771.171.121.131.141.201.211.171.181.201.231.211.181.181.181.181.191.201.191.201.201.191.111.111.060.910.780.680.673.1%4.2%3.5%2.8%3.3%3.9%3.8%3.1%2.6%3.0%3.1%3.1%2.5%2.7%3.0%2.8%2.9%3.2%2.8%2.5%2.5%3.0%3.1%2.9%3.4%3.4%3.6%3.2%10.013.31.64.13.713.69.6▲3.4▲34.3▲59.5(予測値)3Q45678910111212345678910111212345672QR2/1Q4Q3Q2QR1/1Q4Q3Q2QH30/1Q※R2年度は速報値(出所)沖縄県文化観光スポーツ部資料(出所)沖縄労働局「労働市場の動き」月別・タイプ別ホテル稼働率の推移(H30/4~)(出所)沖縄振興開発金融公庫調査部資料月別入域観光客数の推移(H30/4~)▲70.0▲60.0▲50.0▲40.0▲30.0▲20.0▲10.020.010.00.0業況判断D.Iの推移(H30/1Q~)(千人)4.54.03.53.02.52.0(%)0.501.301.201.101.000.900.800.700.60(出所)沖縄振興開発金融公庫調査部資料有効求人倍率及び完全失業率の推移(H30/4~)有効求人倍率H30H31R1R245678910111212345678910111212345670.0100.080.060.040.020.0H30H31R1R2完全失業率(原数値)シティ宿泊特化リゾート71.31.827.068.731.880.316.439.745678910111212345678910111212345670.01,2001,000800400600200H30H31R1R2図表94,4795535936587177948779581,0009473613,7833,9975,3426,0226,6036,9797,3407,0472,5443,0882,9613,8263,3923,2543,2472,6342,5162,1084644548796257981,2922,2281,999965※民間工事は建築・建築設備工事で1件5億円超の工事訪日外国人旅行5.0兆円(18.2%)日本人海外旅行(国内分)1.5兆円(5.5%)日本人国内日帰り旅行4.7兆円(17.1%)日本人国内宿泊旅行16.2兆円(59.2%)(注)OCVBが公表した新型コロナウイルスの影響を受ける2020年の入域観光客数の見通し(2ケース)をもとに試算した影響額CASE1 2020年の入域観光客数391.0万人(前年比▲625.4万人)観光消費額:▲4,710億円減少完全失業率:1.8%ポイント上昇(就業者数▲3万2,730人減少)CASE2 2020年の入域観光客数365万人(前年比▲651.4万人)観光消費額:▲4,920億円減少完全失業率:1.9%ポイント上昇(就業者数▲3万4,200人減少)(出所)沖縄県文化観光スポーツ部資料、企画部統計課県民経済計算、OCVB推計(報道資料)(出所)国土交通省観光庁「旅行・観光産業の経済効果に関する調査研究」◇一般財団法人南西地域産業活性化センター(NIAC)が入域観光客数減少が県経済に及ぼす影響(注)について発表(R1.8.6)23年度入域観光客数と観光収入(億円)01,0002,0003,0004,0005,0006,0007,000R1年度30年度29年度28年度27年度26年度25年度24年度公共工事請負金額と民間工事の推移(億円)23年度3005007009001,1002,0008,0007,0006,0005,0004,0003,000R2年R1年度30年度29年度28年度27年度26年度25年度24年度(万人)(出所)国土交通省「建築受注動態統計」等日本国内における内部観光消費27.4兆円の内訳(2018年)入域観光客数(左軸)観光収入(右軸)公共工事民間工事OCVB見通し(R2暦年ベース) ファイナンス 2020 Oct.23新型コロナウイルス感染下の沖縄経済の状況及び今後の中長期的な課題について(上) SPOT

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