ファイナンス 2020年9月号 No.658
85/88

各地の話題応用研究の身近な例として、低燃費タイヤの開発、低消費電力液晶パネル製造プロセスの開発、ヘアケア商品の開発、小惑星探査機はやぶさ回収物の成分分析などが挙げられます。次世代放射光施設では、従来のX線よりも輝度の高いX線(スプリング8の約100倍の明るさ)が用いられ、物質の種類や構造、化学反応の時間的変化などをナノメートルレベル(10億分の1メートル)で観察することが可能となります。これまで突き止められなかった金属材料の劣化・破壊のメカニズムや、メッキ等の被膜形成過程の解明、また、金属分野以外でもご飯の美味しさの評価など食品、バイオ、新薬開発のほか様々な分野での利活用が期待されており、我が国が先端技術で世界をリードしていくうえで、必要不可欠な研究基盤施設といえます。4おわりに以上のように、仙台では、東西線を基幹交通とした新たな都市軸へ次世代放射光施設が整備されることで、最先端の科学技術による研究成果や人材が、地域企業の技術・経営革新や新産業の創出など地域経済の活性化に生かされることが期待されます。財務局では、こういった地域の様々な取組みに対して、具体的なニーズを把握し、地域経済の発展や課題解決に向けたサポートを行っていきたいと考えています。※図・写真提供〈地下鉄関連〉仙台市交通局〈放射光施設関連〉一般財団法人光科学イノベーションセンター次世代放射光施設の基本建屋の完成予想図(地上2階、地下1階、延べ床面積約25,000m2、加速器リングは1周約350m) ファイナンス 2020 Sep.81連載各地の話題

元のページ  ../index.html#85

このブックを見る