ファイナンス 2020年9月号 No.658
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か?それともそういう解釈は、日本人にとって都合の良い、勝手な思い込みなのか。思いは、尽きない。しかし、誰と語れば良いのだろう。* * * * * * * * *人の心を測るのは難しい。とことん付き合って、自分をさらけ出して、話をすれば、向こうも本当のところを語ってくれるかもしれない。それは、フィリピンでも、欧州でも、米国でも、オーストラリアでも、世界のどこでも、同じだろう。恐らくそれは、言葉の問題では無い。まずは、周りの人ひとりひとりと、いっぱい話をすることだと思う。下の写真は、OdonというADBの8階担当のフィリピン人ウェイターであり、私がADB人事局長時代に総裁室や副総裁室で会議をしていると私の好みのコーヒーをそっと持ってきてくれた男である。私がADBを去った今でも、ADBに出張に行くと、2年前と同じ笑顔で私を迎えてくれる。僅か30秒のエイゴの会話でも、お互い分かり合えるのが、嬉しい。彼は、100%業務上の付き合いであるが、彼からフィリピンを学ぶことは、沢山あったのだ。* * * * * * * * *エイゴは、辛いよ、と言ってきたが、本当はエイゴ自体が辛いのではない。エイゴを使って、他の国のこと、他の国の人のことを知ろうとし、又はこちらの言いたいことを伝えようとし、壁にぶつかり、自分の至らなさを責める。それが繰り返されると、辛いと思うのである。でも、多分、それは乗り越えられる。心をこめてエイゴを話せば、突然、お互いに分かり合える瞬間が来る。それは至福の時である。自分にとっても、恐らく相手にとっても。たとえ我慢の日々が続いても、自分には、辛いことをいつも忘れさせてくれるものがあった。マニラ湾に沈む夕陽である。下の写真に加えて、今号の目次に小さなカラー写真も載せたので見て欲しい。この写真は当時私が住んでいたアパートから撮ったものである。この綺麗な夕陽は、明日もまた見れる。そう思えば、元気が出るよね。明日も、頑張ろう。また、お会いしましょう。(おわり) ファイナンス 2020 Sep.43新・エイゴは、辛いよ。SPOT

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