ファイナンス 2020年9月号 No.658
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山上ヶ岳を過ぎると、そこから6~7時間程度の距離にある行ぎょうじゃがえりだけ者還岳を目指すことになりますが、その名が示すとおり、行者還岳の南側は行者が引き引き還すほどの絶壁の鎖場が続く難所になっています。雨中泥にまみれながら避難小屋まで辿り着き、そこで疲れた体を一晩休めることにしましたが、同じ小屋内の人々も雨中の山行で体力奪われ皆疲れ切っている様子であり、修験の道の険しさが感じられました。その中に外国人の姿があり、話を聞いてみると、カナダ人の兄妹で、日本で働く兄のもとへ妹がはるばる尋ねて来たとのことで、外国人の目にもこの大峯奥駈道は魅力的に映っているようでした。3日目:弥山・八経ヶ岳~釈迦ヶ岳次なる目標地点は弥山と八経ヶ岳であり、弥山は奈良県天川村の南東部に位置する近畿地方では人気の登山スポットで、頂上には宿泊可能な山小屋やトイレが整備されていて、多くの登山客でにぎわっています。弥山から30分ほどの八経ヶ岳は標高1915mの近畿最高峰であり、西日本では数少ない日本百名山のひとつです。その山頂には大峯奥駈道の第51番目の靡があり、私が訪れた時は、多くの観光客が景色を楽しむ中、山伏装束で身を固め、法螺貝を携えた一人の行者が祈りを捧げており、現在もなお古式に則って行われる修験道の修行を垣間見ることができました。写真 八経ヶ岳山頂の山伏八経ヶ岳を過ぎると、次は日本二百名山のひとつ、釈迦ヶ岳を目指すことになります。八経ヶ岳から釈迦ヶ岳に至るまでの道は、大峯奥駈道の中でも屈指の難所とされており、絶壁を上り下りする鎖場が続きます。この難所を乗り越えて辿り着く釈迦ヶ岳の山頂には、文字どおり釈迦如来像が鎮座しています。像の大きさは2メートルを優に超えており、吉野に住む力持夏といえば海。和歌山の海といえば、県南部の紀南地方にある海水浴場「白しららはま良浜」が有名ですが、県北部のメインビーチは磯ノ浦。地元の人々からは「イソコ」の愛称で親しまれているこのビーチは、海水浴場としてだけでなく関西地方ではサーフスポットとして有名であり、週末になると「なんば」や「和泉」などの県外ナンバーで駐車場は溢れ、活気づきます。何百人ものサーファーや海水浴客がひっきりなしに訪れるこの海も、一年に一回だけ無人になる時があります。和歌山県サーフィン連盟が主体となり、毎年9月の第1週目の日曜日にビーチクリーンイベントを開催しており、その時間帯は、どんなに天気が良くても、どんなに良い波があっても、誰一人海に入ることなく、「いつもお世話になっている大切な海に感謝の気持ちを込めて」ビーチの清掃に励みます。私もこのイベントに参加しましたが、このような地元の方々の地道な取組が礎となって、自然を大切にする心が育まれ、海水浴やサーフィンを気持ち良く楽しむことができるのだと実感しました。写真 磯ノ浦でのビーチクリーンフェスタ2019の様子。誰一人海に入らず皆でビーチの清掃に励むコラム2 和歌山の夏~磯ノ浦~ ファイナンス 2020 Sep.29和歌山、修験の道を行くSPOT

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