るためには「自立したインド」＊27となることが大切であるとし、「自立したインド」は経済、インフラ、テクノロジー、民主主義、需要の5つの柱によってなり、国内製品の品質を向上させることが大切であるとした。この意味するところは、他国に頼らず、国内製品を用いたサプライチェーンの構築等で自国の経済を活性化するということであると考える。他方、現地の報道では「モディ首相は20兆ルピー規模の経済対策パッケージと発表したが、経済対策パッケージ詳細は3月に発表された経済対策と重複する面が多く、実際の財政的負担はGDP比1%程度であり、5月に発表された経済対策だけでは不十分な面がある」との見方も示されている＊28。4インドに関する財務総研の取組み財務総研では、インドの経済研究との共同カンファレンスの共催や、毎年、国内の有識者を招いてのワークショップを開催するなど、同国の政治・経済情勢に関する知見の集積に力を入れている。なお、COVID-19の影響もあり、財務総研では、今後の継続的な研究交流のため、テレビ会議の効果的な活用等も検討しているところである。（１）インドワークショップインドの経済や政策に関する知見を獲得することや、省外の日本のインド関係の有識者等との人脈形成を目的とし、2011年度より省内でインドワークショップを行っている。2019年度は、2期目を迎えたモディ政権の政策を軸にインドの経済政治の概況を確認した。また、2018年度は南アジアやインド洋地域を中心としたインフラ整備や2018年4月から5月にかけて行われた第17次連邦下院選挙等をテーマとしたワークショップを3回開催している。（２）インド研究機関との研究交流財務総研では、インドの経済研究機関との交流も継続的に行っている。2010年からは国際経済分野に強みを持つインド国際経済関係研究所（ICRIER）と、2015年からはインド応用経済研究所（NCAER）と交＊27） Prime Minister's Ofce（2020b）＊28） Times of India（2020）流を開始している。これまで、これらの研究機関とのコンファレンスの共催を軸に、各研究所が主催する会議への講演者の派遣などを行ってきた。今後も、インドの有識者との交流を通じて両国の経済情勢等を議論し、積極的に相互理解を深めていくこととしている。5おわりに昨年5月に行われた下院総選挙では、モディ首相率いるインド人民党（BJP）が直前の予想を大きく覆し、結果的に議席数300を超える大勝利を収めた。モディ首相も再選し、2期目を迎える同首相がどのような政権運営を行うのか、非常に注目されていた矢先の今回の出来事であった。こうした状況の中行われた一連の対策、政策に対しては、必ずしも十分でないとの意見もある。一方、人口13億の世界最大規模のロックダウンを断行する決断力は、先の選挙で大勝利を収めたモディ首相の自信と、感染阻止への断固たる決意を感じられるものであった。残念ながらCOVID-19はインドも含め世界的に感染収束の兆しが見えない状況であるものの、今後のモディの政権運営、そしてwith/afterコロナ時代のインドはどうなっていくのか、引き続き今後の動向を注視していきたい。参考文献アジア経済ニュース（NNA ASIA）（2020a）：《安全》中国からの全渡航者のビザ無効、新型肺炎で（2020.2.6）アジア経済ニュース（NNA ASIA）（2020b）：日本航空のデリー線、運休を9月末まで延長（2020.7.10）アジア経済ニュース（NNA ASIA）（2020c）：印中対立で中国貨物差止め 国内産業困惑、財務省に介入要求（2020.6.30）アジア経済ニュース（NNA ASIA）（2020d）：3月の自動車生産、新型肺炎で20％打撃（2020.3.8）アジア経済ニュース（NNA ASIA）（2020e）：高級車販売、1～3月の減少率は過去最大（2020.4.23）アジア経済ニュース（NNA ASIA）（2020f）：ムーディーズ、インドの格付けを引き下げ（2020.6.3）外務省 海外安全ホームページ：インド（https://www.anzen.mofa.go.jp/od/ryojiMail.html? countryCd=0091）在インド日本国大使館（2020a）：インド政府による国際民間旅客航空便の離陸の一時停止措置ほか在インド日本国大使館（2020b）：【緊急】インドにおけるCOVID-19に関する注意喚起（その39：ロックダウン措置の延長ほか）在インド日本国大使館（2020c）：【緊急】インドにおけるCOVID-19に関する注意喚起（その42：ロックダウン措置の延長ほか）住友商事グロールリサーチ 片白 恵理子「インド経済～最近の経 ファイナンス 2020 Sep.25インドにおける新型コロナウィルスの現状と対応、経済への影響ＳＰＯＴ
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