ファイナンス 2020年9月号 No.658
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染者数は、7月末時点で331名となり、1か月で倍増した。4月を上回るスピードで感染拡大が見られたことから、7月31日、県は独自の「第二波非常事態」を宣言し、県民に警戒を呼び掛けた。特に、本県感染者の約6割が愛知県由来であり、そのうち、繁華街でのクラブ等、酒食を伴う飲食店での感染者が約7割超であることから、愛知県、特に名古屋での酒類を伴う飲食を回避すること、また、若者の感染急増や高等学校でのクラスター発生が見られたことから、学校夏休み・お盆休み対策の徹底を呼び掛けた。8月に入っても新規感染者の発生は続いたが、中下旬には新規感染者数が一桁台の日が続いており、減少傾向が見られる。7おわりに以上、新型コロナウイルス感染症に対するこれまでの岐阜県の対応を主に予算面から解説した。対策は多岐にわたっており、また現在進行中の事象であって今後も継続して対応が必要なものであるが、地方の現場で何が起きていて、どのような対策が打たれてきたかが、少しでも伝われば幸甚である。最後に、地元の新聞に掲載されたエピソードを御紹介したい。感染の拡大に伴い、県庁の業務も急増したため、対応する人員も大幅に増加した。当初、健康福祉部の保健医療課にある感染症対策係が担当であったが、係一つでは到底回せなくなり、対策チームが組まれ、一番多い時は170人が対応にあたった。チームの勤務場所には県庁内の講堂(財務省の講堂の2倍くらいの広さ)が充てられ、多くの職員が夜間休日も作業をしていたが、その講堂で勤務するある職員に、新聞記者が「何の仕事を担当しているのですか?」と尋ねたところ、「県民の命を守る仕事です」と答えたという。記者としては具体的な担当業務を尋ねたつもりだったのだが、職員の使命感にはっとさせられた、という記事であった。先述したように、感染症対策のための補正予算編成にあたっては、国からの交付金等を最大限活用しているが、それはこのような熱意ある職員によって執行され、県民、国民のために活用されていることを知っていただければ幸いである。18 ファイナンス 2020 Sep.岐阜県における新型コロナウイルス感染症への予算上の対応について SPOT

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