ファイナンス 2020年9月号 No.658
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178億円)を充てていき、その他個別の国庫補助と合わせ、国からの支援を最大限に活用した。その上でなお県独自に支出する必要があるものについては、県有施設整備・新型コロナウイルス感染症対策基金から約3億円を充当した。6豪雨、第二波(7月)(1)令和2年7月豪雨7月に入り、岐阜県は新たな災害に見舞われた。令和2年7月豪雨は、7日から8日にかけ中濃から飛騨地方を中心に断続的に非常に激しい雨となり、6市に大雨特別警報が発表されたほか、降り始めからの降水量が県内11地点で1,000ミリを超えるなど、記録的な大雨となった。これにより、飛騨川を中心とする河川の氾濫や土砂災害、下流域の白川町ではバックウォーター現象による浸水被害が発生し、また八百津町では短時間の突風による損壊家屋が発生した。特に、下呂市と高山市を結ぶ幹線道路である国道41号線は約500メートルにわたり崩落し、8月17日まで通行止めとなるなど、インフラの被害は大きいものがあった。筆者はお盆休み中に、岐阜県の東北端にある奥飛騨温泉郷に向かったが、途中の道路には片側交互通行の個所が5、6か所あり、中には道路の片面がえぐられて復旧に相当の時間を要すると見られる所もあった。このような中、死者・行方不明者がなかったことは、不幸中の幸いであったし、岐阜県がこれまで積み重ねてきた治水・治山事業の成果、また、地元自治体、地域住民などが連携して早期の避難誘導が実施された結果と考えられる。県としては今後災害復旧のための補正予算を編成予定である(なお、岐阜県は2年前にも7月豪雨災害に見舞われている。その模様については、坂口前部長がファイナンス2018年11月号に寄稿されているので、興味のある方はご覧いただきたい)。(2)感染再拡大また、7月には岐阜県でも新型コロナウイルスの感染が再拡大した。6月末時点で累計156名であった感〈表1〉 令和2年度6月補正予算 ~コロナ社会を生き抜く~補正予算額 1,104億7,340万3千円(単位 千円)1 感染防止・医療(1)感染防止対策の推進○病院、診療所等の感染防止対策支援7,692,116○福祉施設等の感染防止対策支援3,573,516○学校・幼稚園、保育所など多方面での感染防止対策支援2,904,374○「新たな日常」に対応する宿泊施設の改修等への支援500,000○災害時の避難所における感染防止対策の拡充200,000(2)今後に備えた医療・福祉提供体制の整備○医療、介護・障がい福祉施設従事者等への慰労金の支給10,345,500○感染症患者受入病床の確保9,744,793○ICUの前室付陰圧室化などの入院・診察体制の強化1,846,039○防護服、フェイスシールドなどの衛生資材の確保1,188,383○PCR検査体制の増強583,842○感染症患者受入医療機関への協力金の支給644,000○在宅高齢者・障がい者へのサービス再開に向けた支援162,200403億円2 経済の再生(1)経済再生・雇用維持○中小・小規模事業者への更なる金融支援の強化51,334,000○新型コロナウイルス感染症対応事業応援補助金の拡充1,200,000○地場産業の販路開拓及び商品開発等への支援1,042,321○サプライチェーンの見直しと新たな需要への設備投資支援750,000○離職者雇用企業給付金の増額45,000(2)観光のリスタート(守りと攻め)○「新たな日常」に対応する宿泊施設の改修等への支援[再掲]500,000○安心ステイ~ほっと一息、ぎふの旅~キャンペーン(クーポン発行等)771,595○「新たな観光」の推進(VR、戦国武将、サステイナブル・ツーリズム等)320,761○インバウンド再開に向けたネットワーキング103,058(3)農林水産業の支援○学校給食への飛騨牛・鮎等の提供支援669,500○輸出先国の市場変化に対応した食品製造施設整備等の支援285,000○原木ストックヤードの確保、県産材住宅の建設支援の拡充60,600588億円3 子どもたちを守り育てる教育体制の再整備(1)教育のICT化○県立高校等の生徒用タブレット導入やオンライン学習の充実3,954,902○私立高校等の教育ICT化の支援590,840○県立学校(農業大学校、国際園芸アカデミー 等)のICT化149,571(2)学びの場の確保と安全対策○学習指導の人的体制の充実847,293○学校再開に伴うサポートスタッフの増員269,994○臨時的なスクールバス増車による三密の回避227,188○家計急変の影響を受けた児童生徒の私学授業料の軽減10,804○高校総体等の代替大会開催の支援9,92061億円4 「新たな日常」・社会経済の変容(1)県民生活の維持・「新たな日常」への対応○緊急小口資金や住居確保給付金の確保1,449,000○ひとり親世帯、妊産婦への支援477,166○移住定住の促進、サテライトオフィスの支援517,000○SDGs(持続可能な開発目標)の推進109,000(2)社会経済の変容(デジタルトランスフォーメーションなど)○テレワークの推進559,650○ローカル5Gの環境整備、ソフトウェア産業の支援222,000○農林業、福祉分野のロボット・ICT化支援490,117○「コロナ社会を生き抜く」文化芸術活動の応援160,000○県庁デジタルトランスフォーメーションの推進1,500,04456億円 ファイナンス 2020 Sep.17岐阜県における新型コロナウイルス感染症への予算上の対応について SPOT

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