ファイナンス 2020年8月号 No.657
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那覇琉球王国時代の約四百年前に玉城按司(琉球王族)の子孫が住みつき開拓したのがこの島の始まりといわれています。旧暦の5月4日に行われる奥武島海神祭の「ハーリー競漕」は有名です。「ハーリー」とは、毎年旧暦の5月4日に沖縄県各地の漁港で行われる爬竜船競漕とその祭のことをいいます。海に感謝し、航海安全・豊漁を願う祭りや行事は今も受け継がれ、昔ながらのサバニ(南西諸島で古くから使われていた漁船の名称)づくりをする古老や、夏のトビイカの天日干しなどの海人の島ならではの光景が島中に広がっています。5音楽堂と谷【シュガーホール】さとうきび畑に囲まれた静かな風景の中に、突如、「シュガーホール(南城市文化センター)」が現れます。シュガーホールは、1994年に、沖縄県初の音楽専用ホールとして誕生し、世界最高水準の音響を売りとして全国に名を知らしめている音楽堂です。その理由の一つは、貸館だけでなく、世界中の音楽家を招いた自主公演を多数開催するとともに、新人演奏家の巣立ちへの登竜門の場として定着しています。もう一つの理由としては、市民が自主的に文化活動を行うこととして、3つの合唱団が存在するほか、企画から出演までを市民が作り上げるミュージカルでは深い感動とともに市民の一体感を醸成しています。シュガーホールは、世界レベルの音楽ホールとして、また地域に根差したムラヤー(自治会等)として、両輪を回しつつ多くの人に親しまれている音楽堂です。【ガンガラーの谷】ガンガラーの谷は、数十万年前に鍾乳洞だった場所が崩れてできた自然豊かな谷です。約2万年前に生きていた「旧石器人」の居住地としての可能性があり、現在、発掘作業が進んでいます。その隣接するカフェにおいては、例年、著名なアーティストによるライブや音楽祭が開催されており、その幻想的な雰囲気と音の反響効果から人気を博しています。78 ファイナンス 2020 Aug.連載各地の話題

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