ファイナンス 2020年8月号 No.657
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「琉球王国のグスク(城)及び関連遺産群」が 世界遺産に登録された地前那覇税務署 総務課長新城 善広1はじめに那覇税務署は、県都である那覇市(一部地域を除く)を中心に、糸満市、豊見城市、南城市、与那原町、南風原町、八重瀬町の沖縄本島南部4市3町を管轄しています。明治29年11月に開設され、昭和20年4月に第二次世界大戦の戦火拡大により税務署の機能が停止されましたが、昭和22年4月に沖縄民政府の下、南部地方税務署として再発足し、昭和27年4月の琉球政府創設と同時に那覇税務署に改称、昭和29年9月に那覇市松尾から現在の旭町へ移転しました。その後、昭和47年5月の本土復帰により、国税庁管轄下となり、昭和55年3月には旧庁舎を建て替え、現在に至っています。2管内の紹介今回は、管内の南城市をご紹介します。2006年1月1日に、1町3村(佐敷町・知念村・玉城村・大里村)の合併により誕生した南城市は、沖縄本島南部の東海岸、県都那覇市から南東へ約12kmに位置し、静穏な中城湾と太平洋に面して緑豊かな自然環境に囲まれ、また、離島である久高島は、神の島、琉球民族発祥の地として崇敬されています。南城市は、神の島久高島、世界遺産の「斎場御嶽(せーふぁうたき)」をはじめ深い歴史を刻んだ多くの「グスク(城)」、東御廻り(あがりうまーい)の文化遺産など貴重な歴史・文化史跡を持っています。また、今に残る多くの伝統的な芸能、民族は学術的にも貴重であり、沖縄の歴史、文化、信仰の原点の地となっています。3神話と伝説【世界遺産 斎場御嶽(せーふぁうたき)】御嶽とは、南西諸島に広く分布する「聖地」の総称で、中でも斎場御嶽は琉球王国時代に国王が参拝し、また最高位の神女である聞得大君(きこえおおきみ)の就任儀礼が行われたことから、「最高の聖地」として多くの人に崇められてきました。斎場御嶽には六つのイビ(神域:御嶽の最も神聖な場所)がありますが、中でも大庫埋・寄満は、首里城内にある建物や部屋と同じ名前を持っており、これは、斎場御嶽を首里城王府が管理していたことや、両者が深い関り合いを持っていたことを示しています。2000年12月、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の一つとして、首里城などとともにユネスコ世界遺産に登録されて以来、来訪者が増え、今では年間約37万人以上が訪れるようになりました。【神の島 久高島】久高島は、南城市の安座真港からフェリーで約25分に位置し、周囲約8kmのサンゴ礁に浮かぶ小さな島で、沖縄に数ある島々の中でも、存在そのものに深那覇76 ファイナンス 2020 Aug.連載各地の話題

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