ファイナンス 2020年8月号 No.657
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5税関における先端技術の活用事例【図3参照】(1)ビッグデータ解析税関は輸出入申告等について膨大なデータを蓄積しており、このビッグデータをAIに学習・解析させることで職員による通関審査の支援や事後調査の立入先の選定支援に向けた試行的な活用を行います。(2)AIによるX線画像の解析図3の右上の絵のように、X線検査装置の左から貨物を入れ、撮影したX線画像より貨物内の品目をAIが解析・認識し、結果を職員に提示する仕組みを検証しています。今後、現場での本格的活用に向け、精度を高めるために学習を継続する予定です。(3)RPA(Robotic Process Automation)RPAは、データの入力・転載作業等、定型的かつ反復性のある業務に活用することで、業務の自動化・効率化を図ることが期待されることから、全国の税関に導入し対象業務の拡大を図っていきます。(4)NQR装置(覚醒剤隠匿探知装置)覚醒剤を体内や身辺に隠匿して密輸する事案に対応するため、ラジオ波を利用して覚醒剤を探知する検査機器の実用化に向けた調査研究を行っており、早期の実配備を目指しています。上記のほか、業務の高度化・効率化等を図るため、AIを活用できる他の分野について模索するとともに、分散台帳技術、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)、仮想現実、拡張現実等の技術の活用の可能性についても探求を続けることとしています。なお、先端技術の活用は、関税局・税関が一体となって検討を進め、税関自らの発意による民間の技術・サービスとの融合やカスタマイズも視野に入れた体制整備、データサイエンス分野の人材育成、先端技術の導入や業務とシステムの橋渡しができる人材の確保を進めていきます。【図3】税関における先端技術の活用事例線画像の解析()ビッグデータ解析により定型的な作業を自動化を用いたビッグデータ解析職員の脳に替わって審査等の支援【図3】税関における先端技術の活用事例税関業務の高度化、効率化のため、AI等の先端技術の更なる活用に向けた試行・検証を積極的に推進。画面上に品目の識別結果を提示装置(覚醒剤隠匿探知装置)•旅客の体内や身辺に隠匿された覚醒剤を、ラジオ波を利用して探知する検査機器•貨物のX線画像を基にAIが貨物の品目を自動識別してリスク判定を実施•Aを用いて、定型的な業務を自動化•税関に蓄積された輸入申告等の膨大なデータ(ビッグデータ)を解析•審査・検査選定業務及び輸入事後調査立入先選定業務等の支援への活用を検討定型的な業務定型的な業務を省力化試作機のイメージ※NQR(核四極共鳴)装置:ラジオ波を照射し、共鳴して反射した電波を測定する装置。検査機器のイメージ ファイナンス 2020 Aug.31スマート税関構想2020SPOT

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