ファイナンス 2020年8月号 No.657
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を遂行しつつ、職員の安全を確保することも重要です。(5)先端技術の進展政府はAI、ロボット、ビッグデータ解析等の先端技術を産業や社会生活に取り入れ、経済発展と社会的課題の解決を両立する「Society 5.0」の実現を目指しており、税関も先端技術を積極的に活用していくことが重要です。また、5G(第5世代移動通信システム)サービスの開始や分散台帳技術(ブロックチェーン)を貿易分野に活用する動きも見られます。(6)国際治安情勢の変化海外においては大規模国際イベントに際したテロ事件が発生し、テロ計画の摘発事案も続発しています。テロ以外にも、北朝鮮による密輸の巧妙化、国際犯罪組織の活発化と犯罪の巧妙化にも注視が必要です。2税関業務の多様化・複雑化に伴う対応(1)貿易円滑化の推進モノやヒトの流れ等の変化が生じても、先端技術も活用しながら貿易円滑化を進めます。また、今後のEPAの締結で標準的になると予想されるEPA税率の適用についての必要な情報提供、出入国の一層の円滑化、キャッシュレス化等も重要です。(2)適正かつ公平な関税等の徴収今後、EPA税率の適用についての確認業務も増大すると考えられます。また、消費税の脱税を目的とした金の密輸や昨年10月の消費税率の引上げもあり、徴税官庁としての役割が一層重要になります。(3)安全・安心な社会の実現テロ関連物資の流入阻止等は、これまで以上に国内外の関係機関との連携が重要です。また、不正薬物の押収量が3トンを超え、知的財産侵害物品の輸入差止件数も高止まりしており、一層効果的・効率的な水際取締りが求められています。さらに、盗難自動車の不正輸出等、輸出の取締り強化も必要です。3中長期ビジョン及び施策【図1参照】以上を踏まえ、貿易の健全な発展と安全な社会、そして豊かな未来を実現するための中長期ビジョンを4つのキーワード(頭文字でSMART!)に整理し、実現のための施策を策定しました。【図1】スマート税関構想2020の概要貿易の健全な発展と安全な社会、そして豊かな未来を実現するために世界最先端の税関を目指します(強靭化)(多元連携)(利便向上策)(高度化と人材育成)貿易関係事業者や旅客等へ、税関手続におけるコンプライアンスや利便性の向上を図るためのソリューションを提供することにより、一層適正かつ迅速な通関を確保することを目指します。ウェブクローリング技術のイメージドローンの活用イメージ自動応答プログラムによる時間日の質問相談への対応税関検査のオートメーション化による一層の迅速通関の実現①テロ対策等の観点から情報収集を強化するとともに、貨物や旅客に関する事前情報(等)を一層迅速かつ適切に入手・活用②情報収集の更なる効率化のため、インターネット上の情報を自動収集するウェブクローリング技術の活用を検討①海岸線等における効率的・効果的な監視取締りを確保するため、無人航空機(ドローン等)や衛星技術の活用を検討②テレワーク環境の強化など、柔軟な働き方のための環境を整備①通関審査や事後調査を支援するためビッグデータの解析を開始②による線検査画像審査支援③定型的業務の自動化・効率化を図るため、の導入と対象業務を拡大④装置(覚醒剤隠匿探知装置)の調査研究を推進し、早期実配備を目指す⑤等先端技術導入のための検討体制の整備及び人材の育成・確保税関業務にAI等の先端技術を積極的に取り入れ、利便性の創造や一層の効果的・効率的かつ先進的な取締りの実現等、業務の高度化を目指します。また、その活用に併せ人材育成、業務見直し、職場環境の改善を目指します。関係機関、貿易関係事業者等との情報連携を拡大・強化し、水際取締りの強化と貿易円滑化の両立を一層進展させることを目指します。社会構造の変化や災害リスク等に備え、税関手続における利便性を確保しつつ、税関行政を持続・発展させていくことを目指します。自動応答プログラムの活用イメージご用件は何ですか?免税範囲について教えて&[現状][将来]職員対応平日執務時間職員対応平日執務時間自動プログラム時間日免税範囲は、・・・による線検査画像審査支援①②【図1】スマート税関構想の概要 ファイナンス 2020 Aug.29スマート税関構想2020SPOT

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