質無利子・無担保融資等の適格融資の残高を見合いとする「新たな資金供給手段」を導入し、中小企業等の資金繰りを更に支援することとした。このように、日本銀行は、わが国の景気が厳しさを増し、中小企業等の資金繰りなど、企業金融を中心に金融環境の緩和度合いが低下したこと等を踏まえ、企業金融の円滑確保に万全を期すとともに、金融市場の安定を維持し、企業や家計のコンフィデンス悪化を防止する観点から、（i）企業等の資金繰り支援、（ii）金融市場安定のための円・外貨供給、（iii）ETF・J－REITの積極的な買入れの3つの対策を講じてきている。その具体的な内容は、以下の通りである。（図16 日本銀行の新型コロナウイルス感染症対応）（i）企業等の資金繰り支援：新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム日本銀行は、企業等の資金繰り支援のため、（a）CP・社債等の買入れ、（b）新型コロナ対応金融支援特別オペ、（c）新たな資金供給手段の3つの措置を合わせて「新型コロナ対応資金繰り特別プログラム」とし、令和3年3月末までの間、講じることとしている。（a）CP・社債等の買入れCP・社債等について、既存の買入れ（それぞれ約2兆円、約3兆円の残高）を維持しつつ、追加買入枠をそれぞれ7.5兆円と設定し、合計20兆円の残高を上限に買入れを行う（買入枠は3月16日と4月27日の2度にわたり拡大）。（b）新型コロナ対応金融支援特別オペ企業等の資金繰りを支援するための措置として、民間債務の差入担保の範囲内で金融機関へ資金供給（貸付期間1年以内、貸付利率0％）を行う特別オペを実施している。本オペは、3月16日に導入された後、4月27日には、（1）対象担保の範囲の拡大（家計債務を含めた幅広い民間債務を追加）、（2）対象先の拡大（系統会員金融機関等を追加）、（3）本オペの利用残高に相当する当座預金への＋0.1％の付利の3つの措置を講じ、利用拡大を促した。（c）新たな資金供給手段6月から、（1）緊急経済対策における実質無利子・無担保融資や新型コロナウイルス感染症対応として信図16 日本銀行の新型コロナウイルス感染症対応日本銀行の新型コロナウイルス感染症対応企業等の資金繰り支援新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム：総枠120兆円+αＣＰ・社債等の買入れ：残高上限約20兆円（従来は約5兆円）新型コロナ対応金融支援特別オペ：対象約100兆円①担保として差入れられた民間債務を見合いとした資金供給＜従来の特別オペ＞②緊急経済対策における無利子・無担保融資等の残高を見合いとした資金供給＜新たな資金供給手段＞―― 貸付金利ゼロ％。利用残高相当額に＋0.1％付利。系統会員金融機関等も対象。金融市場安定のための円・外貨供給米ドル資金供給オペ拡充：無制限・６中銀による協調行動として、金利引き下げ、期間長期化、オペ頻度増加を実施。国債のさらなる積極的な買入れ：無制限・政府の緊急経済対策による国債発行の増加の影響も踏まえ、長短国債をさらに積極的に買入れ。・国債保有残高の年間増加額のめど「80兆円」を撤廃し、上限を設けない。ＥＴＦ・Ｊ－ＲＥＩＴの積極的な買入れ・ＥＴＦ：年間約6兆円ペース→ 当面、上限年間約12兆円ペース・Ｊ－ＲＥＩＴ：年間約900億円ペース→ 当面、上限年間約1,800億円ペース（注）金額は2020年７月時点（出典）日本銀行 ファイナンス 2020 Aug.21新型コロナ感染症対策に係る資金繰り支援について 特 集
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