ファイナンス 2020年8月号 No.657
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ば、制度融資を活用した実質無利子融資に借換可能としている。この融資は、民間金融機関においても、日本公庫等と同様の中小企業・小規模事業者等向け融資を実現するものであり、異例の試みである。当該制度を導入した背景には、日本公庫等への申込みが集中したこともあった。今般の新型コロナウイルス感染症拡大下においては、地域別でみると、飲食店やサービス業を営む事業者が多い首都圏・関西圏等の都市部で融資申込が殺到した。例えば、東京都では、特別貸付制度の開始後4か月弱で、既に平時における1年間の実績の2倍以上の申込件数となった。これを受け、融資申込み窓口を全国2万以上の支店を展開する各民間金融機関に広げ、政策金融機関のみならず、民間金融機関も含めた迅速な資金繰り支援体制の構築を図ることとした。具体的なスキームとしては、信用保証協会のセーフティネット保証等を適用することで、民間金融機関の無担保融資を可能としつつ、一定の売上高減少要件を満たせば、都道府県等による制度融資を活用した利子補給と保証料補助を行い、4千万円を上限に実質無利子融資を受けることができることとしている。なお、本制度の運用においては、金融機関を一元的な窓口として、ワンストップ手続きを推進しており、金融機関が事業者に代わって、必要書類の事前確認や市区町村・信用保証協会への申請を行うなど、認定・申込手続きの一本化・迅速化を行っている。実施状況は、制度開始後2か月間で40万件7兆円の融資決定を行っており、事業者の迅速な資金繰り支援に役割を果たしていると考えられる。(iii)政投銀等による中堅・大企業向け危機対応融資政投銀等による中堅・大企業向け危機対応融資として、15兆円の融資規模を措置している。これは、感染症の影響を受け、最近1か月の売上高等が前年又は前々年同期と比べて5%以上減少している中堅・大企業を対象に、政投銀等が日本公庫からツーステップ・ローンや損害担保を受けて融資を行う枠組みである。この枠組みは、中堅・大企業向けの制度であること図11 新型コロナウイルスに関する日本政策金融公庫の融資実績2 22 78 606 4,190 12,997 34,385 62,346 96,046 133,529 172,294 201,403 231,576 274,570 320,758 360,835 401,143 438,759 473,595 504,988 533,503 558,613 579,576 590,084 603,971 40 185 467 2,645 12,851 37,951 76,093 122,086 188,413 261,575 331,834 373,351 414,075 462,791 497,445 523,666 547,436 568,173 586,611 602,834 618,253 632,232 644,737 651,867 663,444 0.02.04.06.08.010.00100,000200,000300,000400,000500,000600,000決定金額4月7日(火)緊急事態宣言(7都道府県)緊急経済対策決定(既往債務も新型コロナウイルス感染症特別貸付の対象に)4月8日(水)安倍総理が、官民の金融機関の代表と面会し、資金繰りについて要請4月16日(木)緊急事態宣言(全国)5月1日(金)~民間金融機関による実質無利子貸付け制度の運用開始金額(兆円)決定率:91%(7月31日)(注1)「~2月14日」は、1月29日(相談窓口設置日)から2月14日までの合計。(注2)決定率=(決定件数)/(申込件数)3月10日(火)緊急対応策第2弾決定申込件数決定件数10.2平日1日当たり申込件数329714362,0416,2757,6289,19913,26514,63214,05210,37913,5759,7436,9315,2444,7544,1473,6883,2453,0842,7962,5012,3772,315件数14 ファイナンス 2020 Aug.特 集

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