ファイナンス 2020年8月号 No.657
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12月、(3)令和元年10月から12月の平均、のいずれかの売上高と比較することとしている。貸付期間は、据置期間を最長5年とし、設備資金は20年以内、運転資金は15年以内としており、融資限度額は、日本公庫国民生活事業の場合は別枠8千万円、中小企業事業の場合は別枠6億円としている。利率は、国民生活事業の場合は4千万円、中小企業事業の場合は2億円を上限に、融資後3年目までは基準利率から▲0.9%引き下げた利率(令和2年7月1日現在 国民生活事業:1.36%⇒0.46%、中小企業事業:1.11%⇒0.21%)とし、更に一定の条件を満たす場合には特別利子補給制度の対象として実質無利子化される。今般の措置は、既往債務の借換部分にも低減利率を適用可能としている点や、売上高の対前年比較ができない業歴1年1ヶ月未満の事業者も貸付の対象としている点で、非常に柔軟な資金繰り支援を可能としている。融資状況をみると、3月に実質無利子・無担保融資を導入した以降、申込みが増加し、4月の緊急事態宣言以降は急増し、同月中は1日平均1万件以上の申込みがなされた。制度開始当初は、融資申込が急増し、融資決定までに普段より時間がかかっている状況であったが、日本公庫による迅速化の取組みに加え、5月以降は民間金融機関でも実質無利子融資の運用を開始したこと等から、徐々に状況が改善し、足元では申込みに対して9割近くの融資決定がなされている。なお、事業者の産業別の内訳をみると、感染症の影響を直接的に受けている飲食店、宿泊業の割合が多くなっている。(図11 新型コロナウイルスに関する日本政策金融公庫の融資実績)(ii)民間金融機関による中小企業・小規模事業者等向け実質無利子・無担保融資民間金融機関による中小企業・小規模事業者等向け実質無利子・無担保融資制度は、都道府県等による制度融資を活用して、民間金融機関において実質無利子・無担保・据置最大5年・保証料減免の融資を行うものである。信用保証付き既往債務も条件を満たせ図10 日本政策金融公庫等による資金繰り支援(実質無利子・無担保・既往債務借換)日本政策金融公庫等による資金繰り支援(実質無利子・無担保・既往債務借換)中小企業庁金融課財務省大臣官房政策金融課事業規模:47兆円(二次補正33兆円)○新型コロナウイルス感染症の影響により、業況悪化を来している中小企業・小規模事業者の資金繰りを支援するため、日本政策金融公庫及び商工組合中央金庫(危機対応融資)等が「新型コロナウイルス感染症特別貸付」を実施する。新規融資とあわせて既往債務の借換を可能とし、借換部分についても金利引下げを行うことで、月々の利息負担及び返済負担軽減を図る。このため、出資金により日本政策金融公庫等の財務基盤を強化する。<スキーム図>日本政策金融公庫政府出資金等商工中金利子補給等低利融資・既往債務借換中小企業・小規模事業者・個人事業主等低利融資・既往債務借換一定の要件を満たした事業者に対して、既往債務の借換部分を含め、借入当初3年間の利子補給を実施することで、実質無利子化。・適用対象:「新型コロナウイルス感染症特別貸付」を受けている事業者であって、①個人事業主(事業性のあるフリーランスを含み、小規模に限る)・・・要件無し②小規模事業者(法人に限る)・・・・・・・・・・・・・・・・売上高▲15%③中小企業者(上記①②を除く)・・・・・・・・・・・・・・・売上高▲20%※売上高は「新型コロナウイルス感染症特別貸付で確認する最近1か月」又は「その直後2か月」のうちいずれかの1か月と、その前年又は前々年同月の比較・補給上限:中小事業・商工中金2億円、国民事業4千万円、当初3年間※利子補給上限は、新規融資と既往債務借換との合計金額・小規模要件:製造業、建設業、運輸業、その他業種は従業員20名以下卸売業、小売業、サービス業は従業員5名以下(参考)利子補給による実質無利子化の要件中小機構補助金利子補給•据置期間・担保:5年以内、無担保•融資対象:新型コロナウイルス感染症の影響により、最近1か月の売上高が前年又は前々年比5%以上減少した方※1 業歴3か月以上1年1か月未満の場合等は、最近1か月の売上高を過去3ヵ月(最近1か月を含む)の売上高の平均額等と比較※2 個人事業主(事業性のあるフリーランス含み、小規模に限る)は、影響に関する定性的な説明でも可とするよう柔軟に運用•貸付利率:当初3年間基準利率▲0.9%、さらに一定の要件を満たす場合、実質無利子化(中小事業・商工中金1.11%→0.21%→0%、国民事業:1.36%→0.46%→0%)【令和2年7月1日時点】4年目以降基準利率(中小事業・商工中金1.11%、国民事業:1.36%)【令和2年7月1日時点】•貸付限度:中小事業・商工中金6億円(セーフティネット貸付限度(7.2億円)等の別枠)国民事業8千万円(セーフティネット貸付限度(4,800万円)等の別枠)(注)新規融資と既往債務借換の合計•利下げ限度額:中小事業・商工中金2億円、国民事業4千万円(注)新規融資と既往債務借換の合計•貸付期間:設備資金20年以内、運転資金15年以内日本政策金融公庫及び商工組合中央金庫等による特別貸付 ファイナンス 2020 Aug.13新型コロナ感染症対策に係る資金繰り支援について 特 集

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