ファイナンス 2020年8月号 No.657
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急貸付・保証枠5,000億円を確保・売上高の減少等の程度に関わらず、セーフティネット貸付の対象とするよう、要件を緩和更に、3月に入り、感染者数の拡大が更に加速した状況を受け、政府は、予備費の使用を含め、一層の資金繰り支援を打ち出すこととなった。3月10日に、緊急対応策第2弾を決定・公表し、平成29年台風第21号以来の危機対応業務が発動されるとともに、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者を対象とする特別貸付が整備され、緊急事態宣言を前に資金繰り支援体制が構築されることとなった。(緊急対応策第2弾)・日本公庫等において、新型コロナウイルス感染症特別貸付制度を創設・売上減少の影響が大きい中小・小規模事業者については、利子補給により、実質的に無利子化・政投銀等による危機対応業務を実施し、中堅・大企業の資金繰りに万全を期す4月に入ると、緊急事態宣言が4月7日に発令され、同月16日には全国に拡大した。13都道府県にあっては「特定警戒都道府県」と指定され、最終的に5月25日まで、緊急事態宣言が継続されることとなる。政府は、緊急事態宣言の発令と併せて緊急経済対策を決定・公表し、これに基づき、令和2年度第1次補正予算が編成され、休日を含む国会審議を経て4月30日に成立した。これにより、一層の強力な資金繰り支援を進めることとし、事業規模を大幅に拡充するとともに、政策金融機関に加え、民間金融機関においても実質無利子融資が可能となるなど、強力な資金繰り支援の措置・拡充を図った。(第1次補正予算)・民間金融機関による融資についても実質無利子・無担保とすることができる制度を創設・日本公庫等の実質無利子・無担保融資等の事業規模を拡大・日本公庫等や保証付き民間融資の既往債務の借換えを可能とする 等その後、5月7日には、国内の1日あたりの感染者数が100人を下回るようになったが、休業要請による事業者への影響は大きく、日本公庫等への融資相談は増加した。更に、感染症の影響の長期化を見据え、新型コロナウイルス感染症からのV字回復や財務の健全性の問題に備えた資本性資金による支援の必要性が高まってきた。これを受け、第1次補正予算の成立から間髪入れることなく、第2次補正予算の速やかな編成に着手し、6月12日に、実質無利子融資等の融資枠の大幅拡充に加え、資本性劣後ローンの創設等の資本性資金による支援を内容とする第2次補正予算が成立した。これにより、これまでの措置と合わせて、総額140兆円規模というかつて類を見ない規模の金融支援を措置することとなった。(第2次補正予算)・日本公庫等の実質無利子・無担保融資や政投銀等の危機対応融資等の融資枠を拡充・政投銀・商工中金(中堅・大企業向け)、日本公庫等・商工中金(中小・小規模向け)の資本性劣後ローンを創設・政投銀の特定投資業務、産業革新投資機構、地域経済活性化支援機構等による出資・ファンド等を拡充・金融機能強化法に基づく資本参加枠を確保 等4企業支援の内容(1)政策金融I(流動性支援)(i)日本公庫等による中小企業向け実質無利子・無担保融資日本公庫等による中小企業向け実質無利子・無担保融資制度は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小・小規模事業者の事業の継続を支援するため、低利で設備資金及び運転資金を供給することを目的としている。(図10 日本政策金融公庫等による資金繰り支援(実質無利子・無担保・既往債務借換))具体的には、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて一時的に業況悪化を来し、最近1か月の売上高が前年又は前々年同期と比較して5%以上減少し、かつ、中長期的に業況が回復し発展することが見込まれる事業者を対象としている。なお、前年の売上実績がない業歴3か月以上1年1か月未満の事業者等は、(1)過去3か月(最近1か月を含む)の平均、(2)令和元年12 ファイナンス 2020 Aug.特 集

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