ファイナンス 2020年7月号 No.656
9/86

利率は、国民事業が4,000万円以下の部分について当初3年間が「基準利率―0.9%」、3年経過後は「基準利率」となる。4,000万円を超える部分は「基準利率」が適用される。中小事業は2億円以内の部分が当初3年間は「基準利率―0.9%」、3年経過後は「基準利率」となる。2億円を超える部分は「基準利率」が適用される。また、「特別利子補給制度」を併用すれば、実質無利子で融資が受けられる。実質無利子となるのは、借入後当初3年間で限度額は国民事業4,000万円、中小事業2億円。対象となるのは、小規模事業者で個人は要件なし、法人は売上高▲15%以上、中小企業者は個人・法人ともに売上高▲20%以上となっている。実質無利子化は、東日本大震災の際に一部で行われたものの、それ以外ではほとんど例がない極めて異例の対応だ。政府はさらなる措置として、4月20日に緊急経済対策を決定し、それまでの金融措置(1.6兆円規模)に加え、中小・小規模事業者向けに38兆円規模、中堅・大企業向けに5兆円規模、海外展開向けに1兆円規模の追加を行い、総額45兆円規模と、質量ともに万全の金融措置を講じることとなった。当該対策によって、既往債務をより有利な条件であるコロナ特別貸付へ借り換えることを可能とし、また、民間金融機関による無利子・無担保の融資(限度額4,000万円)が可能となった。民間金融機関との連携に係る取組みとしては、日本公庫に申し込みが集中して、実行に時間がかかるのを避けるため、民間金融機関が日本公庫の融資制度の説明等を実施したり、融資が実行されるまでのつなぎ融資を提供するなどの対応も行っている。なお、日本公庫では衛生環境激変対策特別貸付、セーフティネット貸付なども行っている。衛生環境激変対策特別貸付は感染症等の発生による衛生環境の著しい変化を原因として一時的に業況が悪化し、資金繰りが厳しくなった旅館業、飲食業などを対象としたもの。通常の融資に加えて別枠で旅館業は3,000万円、飲食業などは1,000万円が利用できる。セーフティネット貸付は、社会的、経済的環境の変化などにより、一時的に売上が減少するなど業況が悪化した中小企業者向けの融資。融資限度額は中小事業が7.2億円、国民事業が4,800万円となっている。図表4●新型コロナウイルス感染症に関する主な制度拡充「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の創設条件最近1ヵ月の売上高が前年又は前々年の同期と比較して5%以上減少しているなど融資限度額国民生活事業8,000万円中小企業事業6億円返済期間(据置期間)設備資金20年以内(5年以内)運転資金15年以内(5年以内)図表5●新型コロナウイルス感染症特別貸付の実質無利子化●適用対象小規模事業者中小企業者個人要件なし売上高▲20%以上法人売上高▲15%以上※一定の要件あり●利子補給中小国民対象借入後当初3年間限度額2億円4,000万円 ファイナンス 2020 Jul.5新型コロナウイルス感染症にも素早く対応民間金融機関と協調して企業を支援する政策金融特集

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る